ZAITEN2025年07月号
私欲で公共電波が汚されるのは勘弁だ
【特集】SBI北尾吉孝「フジテレビ支配」の野望
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「俺までならず者扱いするつもりか」。ネット金融大手、SBIホールディングス(HD)会長兼社長の北尾吉孝(74歳)は腸が煮えくり返っていることだろう。
フジ・メディアHD(フジHD)が6月25日の株主総会に諮る取締役選任議案を巡り、同社の株式を7%強保有する米アクティビスト、ダルトン・インベストメンツが株主提案した取締役候補12人を全て拒否する方針を発表した。ダルトンの提案では、北尾が「経営改革の担い手の目玉候補」(関係筋)だった。今や財界の大立者を自負する北尾自身は「フジHD側も自分のことだけは蔑ろにできないはず」と勝手に思い込み、取締役会長としてネットと放送の融合などに辣腕を振るう姿を妄想していたという。それだけに、大恥をかかされた格好だ。
メディア支配の野望を捨てきれない北尾は、自らの屈辱も晴らすべく、ダルトンはもとより、フジとは因縁が深い旧村上ファンド総帥の村上世彰やライブドア元社長の堀江貴文らと手を組んで、フジHD経営陣に対抗する構えだ。ただ、SBIHD社内では「敗北すれば、総帥(北尾)の晩節を汚し、企業イメージも悪化しかねない」(中堅幹部)と懸念する声も広がっている。
「徹底的に勝負する」
「もし(フジHDが)敵対するとすれば、徹底的に勝負する。反省の念もなく、まともな良識に対抗しようとするなら受けて立つ。株式5%くらい買うのはわけない」。ダルトンがフジHDに独自の取締役候補を株主提案した翌日の4月17日。北尾は記者会見で、こう啖呵を切った。
曰く、フジHDが3月末に公表したタレントの中居正広を巡る元フジテレビアナウンサーへの性暴力問題に関する第三者委員会調査報告書を読んで、20年前の出来事を巡る自身の行いを悔恨。その「贖罪意識」からダルトンのフジHD取締役候補就任の要請を受け入れたという。
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