ZAITEN2025年10月号

「プライバシー保護」を錦の御旗に掲げる利権誘導

【特集】読売新聞&LINEヤフー「新メディア帝国」の奸計

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日本最大のプラットフォーマーと最大部数新聞社の結託が、「プライバシーの尊重」「アテンション・エコノミーとの対決」といった「誰もが否定しにくい」大義名分のもとに進められている。だが、崇高な理念を掲げる一方で隙あらば自分たちの利権と結びつけようとするこの2社に、そうした重い使命を担う資格はあるのか――。

 新聞を紙で読んでいた時代の終わりがいよいよ近い。
 総務省情報通信政策の調査によれば、2013年度にニュースを読むために最もよく利用する手段として「(紙の)新聞」を挙げた人は59・3%、ヤフーなどのプラットフォーマーが提供するニュースポータルを挙げた人は20・1%だった。それが22年度は新聞18・0%に対し、ニュースポータル47・0%と、ほぼ逆転した。

 また、公正取引委員会が23年9月に発表した「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書」によると、メディアが受け取る配信料の額に基づくニュースポータルのシェアは、ヤフーニュースが40~50%と約半分で、以下LINEニュース(20~30%)、スマートニュース(10~20%)と続く。21年に旧ヤフーとLINEの経営統合により発足した、LINEヤフー(ヤフー)が提供するポータルだけで6~8割%を占めることになる。

 ヤフーニュースには1日約8500本もの記事が配信されるが、ヤフージャパンのトップページを飾る「ヤフートピックス(ヤフトピ)」に掲載された記事はPVが爆発的に跳ね上がる。そのため、各メディアの担当者は、8本(スマホアプリの場合6本)分の枠しかないヤフトピに選ばれようと、これまで血眼になってきた。

 そのヤフーとメディア業界との間に、緊張を走らせる出来事が、今年立て続けに起きた。まず4月、夕刊紙『日刊ゲンダイ』が運営する『日刊ゲンダイDIGITAL』と講談社の『現代ビジネス』が、ヤフーニュースへの記事配信契約を打ち切られたのだ。  

 そしてこの〝粛清劇〟のわずか数カ月後には、来年26年からヤフーニュースに配信される記事の価値をヤフーが掲げる基準に基づいてAI等に評価させ、同時にその評価を配信料にも反映させるしくみを導入するとの通知が、ヤフーと配信契約を結んでいる各メディアにもたらされた。

 通知を受け取ったあるメディアの関係者は、日刊ゲンダイなどとの契約を打ち切った直後にヤフーがこの告知をした意味を、次のように汲み取っている。 「政治や社会問題など硬派な記事よりも芸能・スポーツ記事の方が10倍近くPVを稼げるのがネットニュースの世界。それだけに、テレビ番組を要約するだけのコタツ記事をヤフーが欲しがっていないわけではありません。

......続きはZAITEN10月号で。

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