ZAITEN2025年12月号
危ぶまれる「日本版トラス・ショック」で金融市場の混乱必至‼
【特集】高市早苗「悪夢政権」誕生の災厄
カテゴリ:TOP_main
10月21日、紆余曲折を経て誕生した高市早苗政権。「高市トレード」の影響で、5万円台に迫る水準まで急騰した日経平均株価だが、その一方で、積極財政を標榜する「サナエノミクス」の暴走は「日本版トラス・ショック」を招くリスクがある――。
高市早苗政権の誕生を囃す東京株式市場では、日経平均株価が史上最高値を更新し、5万円台に迫る水準まで急騰した。積極財政と金融緩和を志向する経済政策「サナエノミクス」を好感した「高市トレード」だ。一方、そんな浮かれムードをよそに、債券市場では財政規律喪失への懸念が燻り、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、約17年ぶりの高水準に跳ね上がった。日本維新の会と連立してもなお、衆参両院で過半数に足りない厳しい状況下、高市は政権維持を図ろうと野党各党の減税要求に、愛想を撒きつつ、タカ派らしく防衛費のさらなる増額にも意欲満々だ。
ただ、肝心の財源問題は手つかず。「必要な政策の遂行には赤字国債の増発もやむを得ない」と言い放つ高市の経済財政運営には、借金頼みに陥る危うさが付きまとう。世論の右傾化の流れも追い風に、日本初の女性宰相の地位と栄誉を手に入れた高揚感からか、英国初の女性首相として英経済を復活に導いたマーガレット・サッチャーに自身をなぞらえているようだが、霞が関では「財政規律を無視した大盤振る舞いの経済政策で、市場から不信任を突き付けられて失脚した元英首相リズ・トラスの二の舞になるのではないか」(経済官庁幹部)と懸念する声もしきりだ。
手前勝手な独自指標
「高市政権の先行きを楽観しているのは株式投資家だけ。為替や債券の投資家は、積極財政を標榜するサナエノミクスの暴走が日本版トラス・ショックを招かないかと警戒感を強めている」。日本国債の取引を手掛ける英系投資会社幹部はこう警鐘を鳴らす。
......続きはZAITEN12月号で。







