ZAITEN2025年07月号
修羅場の「株主総会2025」
【特集】フジテレビ「経営陣 vs. アクティビスト」全面抗争
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フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の企業統治不全に端を発したアクティビストの動きは、今年の日本の株主総会に燃え広がるのは避けられない。
ただ、肝心の企業統治の改善は期待薄だ。新型コロナウイルス禍以降、世界各国の中央銀行が進めた金融緩和で膨れあがった投資マネーは、日本以外が利下げ局面に入ったことで、外資を中心としたアクティビストの動きを後押ししている。より高い資本効率を追求し、上場企業への圧力は強まるばかりだ。
ハーバード・ロースクール企業統治フォーラムで国際金融グループのバークレイズが公表した2024年のアクティビストの活動件数によると、世界全体の件数は過去最大だった18年に次ぐ規模にのぼった。特にアジア・太平洋地域は過去最大の66件と前年からほぼ倍増し、ヨーロッパを初めて上回った。牽引するのは日本企業の案件だ。
米ヘッジファンド運営会社のエリオット・マネジメントがソフトバンクグループ(SBG)株を積み増し、150億㌦の自社株買いを求めたのを筆頭に、日本のストラテジックキャピタルや香港に拠点を置くオアシス・マネジメント、そしてFMHで名を挙げた米ダルトン・インベストメンツらが、多数の日本企業に要求を突きつけてきた。
背景には日本企業の資本効率の悪さがある。東京証券取引所が23年3月末に上場企業に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」で、「プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社がROE8%未満、PBR1倍割れと、資本収益性や成長性といった観点で課題がある状況」と指摘した。「経営者の資本コストや株価に対する意識改革が必要」と言及し、株主側に立っている。
ダルトンがフジを批判するワケ
東証は長らく世界有数の株式市場で、アジア最大の時価総額を誇っていたが、20年に上海市場に逆転され、21年には一時、香港市場にも抜かれた。資本市場として埋没する危機を前に、時価総額引き上げのためには、個々の株価を低迷させて市場の足を引っ張ってきた「意識の低い」経営者に見切りをつけたのだ。
......続きはZAITEN7月号で。