ZAITEN2026年9月号
中央大学教授 服部龍二
【著者インタビュー】『安倍晋三 平成・令和の光と闇』中央大学教授 服部龍二
カテゴリ:インタビュー
安倍晋三 平成・令和の光と闇
中公新書/¥1100+税
はっとり・りゅうじ―中央大学総合政策学部教授。日本政治外交史・国際政治史専攻。東京都出身。京都大学法学部卒業。神戸大学博士号(政治学)、ジョンズ・ホプキンス大学修士号(国際関係)、東京大学修士号(国際貢献)。主な著書に『日中国交正常化―田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦』、『中曽根康弘―「大統領的首相」の軌跡』(いずれも中公新書)、『田中角栄―昭和の光と闇』(講談社現代新書)など多数。
「大胆な構想」と「運用の脆弱性」 徹底検証で見える〝安倍外交の功罪〟
―本書を執筆した動機についてお聞かせください。
安倍を論じた書籍には、特定の立場からのものもあり、バランスの取れた評伝が不可欠だと考えました。この問題意識が、数年前から構想していた『安倍晋三―平成・令和の光と闇』(中公新書)の執筆動機につながっています。 なかでも外交は、安倍が最も力を注いだ分野の一つであり、国際的にも高く評価されてきました。だからこそ、その功績だけでなく、限界や問題点も検証する必要があると考えました。
安倍外交の最大の功績は、日本を既存の国際秩序の受け手から「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)という秩序構想の提案者に転じさせたことです。FOIPはインド洋から太平洋にわたる広大な地域で「自由」「法の支配」「市場経済」を重んじ、地域全体の安定と繁栄を目指す国際秩序構想です。安倍が2016年に初めて提唱しました。日本の首相の構想が米国を含む主要国に共有される戦略概念となったことは、日本外交史上、空前のイニシアチブでした。安倍の卓越した構想力を最も端的に示す成果と言えます。
......続きはZAITEN9月号で。








