ZAITEN2022年012月号

仕組み債で元本割れ続出

金融庁「失政隠し」に躍起の責任逃れ

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 所管する業界で厳しい批判を浴びそうな大きなトラブルが起きた場合には、業者を猛烈に叩いて世論の留飲を下げさせ、自らに火の粉が飛ばないようにする―。そんな霞が関官僚一流の「失政隠し」の工作に、金融庁が躍起となっている。

 問題となっているのはデリバティブ(金融派生商品)を組み込み、高い利回りが期待できることを売り物に、地銀がここ数年、個人投資家に売りまくってきた「仕組み債」と呼ばれる金融商品だ。インフレ圧力の高まりに伴う欧米の金融引き締め加速で金融市場が変調する中、仕組み債を購入した個人投資家の間で元本割れの被害が続出、金融庁にも苦情が殺到している。加えて「このままでは岸田文雄総理が掲げる『資産所得倍増プラン』にも悪影響が及ぶ」(長官の中島淳一周辺筋)と焦った金融庁は地銀の仕組み債販売状況の一斉調査に乗り出すなど業界の締め付けを強化している。

 だが、元をただせば「本来、プロ投資家向けに開発された複雑な商品」(中堅証券首脳)という仕組み債の個人向け販売をまともな規制もないまま放置し続けてきたのは、他ならぬ金融庁自身である。地銀バッシングを殊更にフレームアップして、自らの失策を糊塗するような無責任な行政は許されない。

......続きはZAITEN12月号で。

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