ZAITEN2023年06月号

【対談】佐高信の賛否両論

佐高信vs.神田香織「唯一の被爆国として『はだしのゲン』の削除を看過してはならない」

カテゴリ:インタビュー

かんだ・かおり―福島県いわき市生まれ。高校卒業後、東京演劇アンサンブル、渡辺プロダションドラマ部を経て1981年10月二代目神田山陽に入門。著書に『女医レニアの物語』(主婦の友社)、『3.11後を生き抜く力声を持て』(インパクト出版会)など。受賞歴に講談「はだしのゲン」公演で日本雑学大賞、やより賞・やよりジャーナリスト賞特別賞(大衆普及)など。

佐高
 香織さんはどんなきっかけで講談をはじめたのですか?
神田 高校を卒業後、女優を目指して劇団に入り、演劇をしていました。当時は、声が小さかったり、人前に出るのがあまり得意ではなかったんです。発声練習のつもりで講談をはじめたのが、講談に出会うきっかけでした。講談を続けていく中で、講談は高い声を出したり、低い声を出したりと独り芝居みたいでおもしろいと感じるようになり、のめり込んでいきました。思い切って講談の前座修行に入って、3年間下積みをしました。 「二ツ目」というプロとしてスタートするタイミングで仲間3人とサイパンへ遊びに行きました。サイパンは戦争の跡が沢山残っていて、それが観光スポットになっていました。驚いたのは、泳いでいると、手の届くところに戦車があり、ほんの半世紀近く前にここで本当に戦争があったんだと実感しました。戦時中に「万歳」と言って兵士や民間人が崖から飛び降りた「バンザイクリフ」へも行きました。当時は兵士だけでなく日本の民間人もサイパンに住んでいました。戦局が悪化し、追い詰められた人たちが断崖から飛び降りる悲劇がありました。足がすくむからと後ろ向きにさせられて一歩一歩崖に近づいて落ちていったと聞きました。変な話ですが、その様子を想像したら、なんだか私が申し訳ない気持ちになりました。米軍の呼びかけに応じず、玉砕を強要させられた人たちを思うとゾッとしたのと同時に、ふと戦争を題材にしようと思い立ちました。プロになったばっかりで新作を何にしようか考えていたので、サイパンで受けたショックを形にしたいと考えました。

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