ZAITEN2024年11月号

インタビュー

「日本の農業を外資に売り渡した小泉進次郎」元農林水産大臣 山田正彦

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やまだ・まさひこ―1942年、長崎県生まれ。弁護士。早稲田大学法学部卒業。2010年6月、農林水産大臣に就任。著書に『子どもを壊す食の闇』(河出新書)など。

 2018年に種子法が廃止されました。それまでは法律によって都道府県が農家に安く優良な種子を提供してきたのです。例えば、アメリカの場合は各州がその土地にあった種子を農家に安く提供していますし、カナダもオーストラリアも国が提供しています。しかし、日本では民間の活力で種子ビジネスを拡大するということで、突然廃止されました。日本はTPP協定の署名時に、総合的なTPP関連政策大綱を閣議決定しました。その中ではっきり種子法廃止を明言していて、それに基づいて規制改革会議で決定し、農政審議会にかけずに廃止してしまった。  

 これを受けて私は「日本の種子(たね)を守る会」を作って、全国で種子法に代わる種子条例を作ってもらう取り組みを始めました。種子法と同じように、県が責任持ってこれまで通り優良な種子を安く安定して農家に提供し、県が責任を持って審査もするという条例を作った。今現在で35の道県で条例が成立しています。  

 種子法が廃止され、今まで安くて良い種子が民間になったら約10倍の高価になるため、農水省は民間の「みつひかり」という種子を「超多収」といって推薦して回りました。「みつひかり」は「F1種(1代交配種)」と呼ばれる品種です。自家採種しても孫世代以降では良いものができないので、農家は毎年種子を買う必要があります。また、指定された農薬と化学肥料をセットで販売するので、いわば民間の化学会社が種子をつくって、種子で儲け、肥料で儲け、農薬で儲けるというビジネスモデルなのです。その後、「みつひかり」は23年2月に突然、提供が打ち切られます。田植え前の種子をまこうとしている時だったので、農家はパニックに陥りました。なぜこういうことが起きたかと言いますと、「みつひかり」の種子が不良品だったというわけです。

......続きはZAITEN11月号で。

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