ZAITEN2026年10月号
〝使える〟ならば「物言う株主」も利用する
ソニー「タムロン買収」に透ける〝手練手管〟の狡猾
カテゴリ:企業・経済
ソニーグループが「『100億円IP』育成挑む」として映画やアニメなどIP(知的財産)で売上高100億円を目標に事業展開すると、日本経済新聞が大々的に報じたのは、8月13日のこと。ソニーGは任天堂、セガ、サンリオと比較して、IP分野の独自キャラが貧弱だとして、〝専門部隊〟を編制して創出、育成までを一気通貫で取り組むと息を巻く。
ソニーGがゲーム、アニメ、映画といったIP分野へと舵を切って久しい。伝統的なモノ作り企業から巨大なエンタメ企業へと変貌しつつある。それが近年ソニーGに注がれていた視線であった。
だからこそ、7月末に突如としてぶち上げられた〝タムロン買収〟は、市場やマスコミ関係者の耳目を集めた。7月29日、『ダイヤモンド・オンライン』が独占スクープと題して速報すると、翌30日には、グループ傘下のソニーがカメラレンズメーカーのタムロンに対して買収提案を行っていると両社が公表するに至った。
タムロンはソニーのほか、キヤノン、ニコンなどのミラーレスカメラのレンズを製造するレンズメーカー。ソニーは2026年3月時点で同社に15・35%出資する大株主でもある。タムロンの株価は、年初来1000円台を概ねうろついており、時価総額も買収報道の直前で1700億円程度であったが、報道以降、株価は急騰。30日はストップ高状態となり一挙に300円高の1434円まで跳ね上がった。ある金融関係者は「今年1月から2社の〝やり取り〟が始まっていた」ことをふまえて、今回の報道とソニーの動きを次のように訝しがる。 「報道は〝ソニーによるリーク〟と不信感を募らせているタムロン関係者もおり、具体的な買収への動きが報道以降ほとんどないソニーの姿勢は不気味だ」
この手の買収提案をぶち上げた後は、具体的な買収まで一気に詰めるのが〝定石〟だ。本来であれば、水面下である程度交渉がまとまったうえで公表するのがセオリーとも言える。あえてメディアを通じた〝報道先行〟にはどんな意図があるのだろうか。
1つはタムロンのレンズ事業を取り巻く環境をめぐる指摘だ。
......続きはZAITEN10月号で。








