ZAITEN2021年11月号

松山英樹「新刊本」の随所に見られる“問題箇所”

松山英樹 自身が初めて語った「自叙伝」

カテゴリ:スポーツ・ゴルフ

松山英樹_自叙伝_書影.jpg 今も記憶に残る日本人初のマスターズ優勝。誇らしげに両こぶしを突き上げ表彰台に立つ松山英樹の姿は、ゴルフファンの目に焼き付いている。

 その松山英樹が『彼方への挑戦』(徳間書店)という初の自叙伝を上梓した。

 人気が低迷する男子ゴルフ界にあって、早々に活躍の舞台を米国に移した松山は、東京五輪の出場も果たし、人気実力ともに間違いなく日本の男子プロゴルファーのトップに君臨する。その松山が自分の気持ちを赤裸々に吐露したというのだから、ファンならずともその内容が気になるところだ。

 早速、『週刊現代』(9月11・18日号)が、〈松山英樹が自伝で書いた止まらない涙、恐怖、そして焦燥〉というタイトルで記事を組んだ。2016年出場のマスターズでのパターイップスの回想や、17年の全米プロ選手権で首位陥落の心の機微、そしてマスターズで大歓声の前で流した涙の真意などを、松山を追い続けるジャーナリストや元キャディなどのコメントを交えながら紹介している。

 本誌では、これまで松山のネガティブ発言や拙い英語力なども含め、そのラウンドスタイルを批評してきた。だが、松山の真の気持ちを理解しなければ冷静な批評を展開できない。そこで〈ゴルフファンの間で話題を呼んでいる〉という"松山本"に目を通してみた。

随所にみられる〝勘違い〟  

数葉のピンナップページを挟んで始まる自伝は、〈ゴルフを愛するたくさんの方々、若いゴルファーたちや将来を担っていく子どもたちに伝えることに可能性を感じ、ライターの方のお力を借りてまとめた〉という。だが、内容を読む限り、そのライターの理解力の問題か、首を傾げたくなるくだりが多く見られるのだ。

「第3章」では、公立中学に通う松山が、ゴルフ強豪校の明徳義塾中学に転入する場面が描かれている。そこにこんな一文がある。 〈明徳義塾中学校に入るためには、1年生の学年末に受験をしなくてはいけなかった。英語、国語、数学の3教科のペーパーテストで満足に答えられなかったのを覚えている。数日後に(明徳義塾ゴルフ部の)高橋監督から連絡があった。電話口で「おんしゃー、ちったあ、勉強もせなあかんで」と言われた。ああやっぱり不合格か〉

 監督の言葉から類推すると、松山のテストの結果は芳しくなかったに違いない。だが、〈明徳義塾中学校から届いた結果は「合格」だった〉のだ。つまり松山は正規での転入ではなく"情実"で転入したと言っているのではないか。プロゴルファーを志すジュニアに対して、ゴルフだけをやっていれば勉強はそこそこでいいと聞こえてならない。どのスポーツにも言えるが、日本の教育現場ではスポーツに長けた子どもが優先的に強豪校へ進めるシステムが構築されている。だが、それは一方で学力不足や学業軽視を生み、大きな問題になっている側面もあるのだ。

......続きは「ZAITEN」11月号で。

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