2021年05月号

「1.9万人リストラ」のストレスで中堅・若手に“パワハラ三昧”

みずほ「ブラック職場」極まれり

カテゴリ:企業・経済

システム障害で、その弛緩ぶりが白日の下に晒されたみずほ銀行。しかし、職場は然に非ず。1・9万人リストラの圧力に晒されたベテラン級が中堅・若手を苛めるパワハラが横行し、内部通報制度も有名無実という。悲痛な叫びを報告する。

「今回のシステム障害は、いずれも翌日にはほぼ解決していますし、2011年の東日本大震災直後の時ほど大規模でもない。部長級は会議でバタバタでしたが、現場レベルで特に慌てた様子はありませんでした。もっとも、経営陣から詳しい説明はなく、行員のほとんどは毎回毎回、報道で初めて何が起きたかを知ったはず。多くは『また、やらかしたか』という感じで、冷ややかです」

 こう話すのは、みずほ銀の中堅行員だ。2月28日に全国で起きたATM(現金自動預け払い機)のシステム障害。全体の8割に当たる約4300台が停止し、利用者のカードや通帳が取り込まれたままになる被害も5000件を超えた。3月3日にはATM29台が最大3時間停止、カードなどが取り出せない被害が再び。7日には定期預金の一部取引が停止した。さらに、11日から12日にかけて、企業間の約300件の外貨建て送金処理が一時不能となった。

 一連の影響で、みずほ銀は4月1日付で予定していた藤原弘治頭取の交代人事を異例の延期。金融庁は報告徴求命令を出すとともに、立ち入り検査を行い、業務改善命令などの処分を検討する。

つながらなくなる行内ネットワーク

 わずか2週間足らずで4回のトラブル。何より深刻なのは、個別の障害要因は判明していながら、どうしてみずほ銀だけ立て続けにトラブルが発生し、システム障害が集中するのかという根本原因がまったく究明されていないこと。12日夜に都内で会見した藤原頭取も「4つの事象の因果関係は見い出せていない」と謝罪したが、それ以上の言及は避けている。

 日本興業銀、第一勧業銀、富士銀の旧3行の経営統合で誕生したみずほ銀は、発足直後の02年、東日本大震災直後の11年、そして今回とほぼ10年周期で大規模トラブルを起こしている。

 2回目のトラブルでは、旧3行統合の歪みが指摘され、金融庁から持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)とともに業務改善命令を受け、当時の西堀利頭取が引責辞任。19年に8年の歳月と約4500億円を投じ、新システム「MINORI(みのり)」を稼働させ、再スタートを切ったばかりだった。

 最も信頼性が求められる、曲がりなりにもメガバンクの一角で立て続けに起きた不祥事。被害を受けた利用者から「緊張感が足りない」との厳しい声が相次ぐ中、2回目の時と同様、みずほ銀に特有の企業風土を指摘する声が相変わらず根強い。

......続きは「ZAITEN」2021年5月号にて。

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