ZAITEN2025年07月号

舵を失ったカシオの経営

「脱創業家社長」を2年でクビにしたカシオで続く〝果てしなき漂流〟

カテゴリ:企業・経済

 不正アクセス被害や業績不振事業からの撤退、大幅な人員削減など暗いニュースが続いているカシオ計算機。2023年4月に初めて創業一族以外で社長に就任した増田裕一(70)が長年の「ぬるま湯体質」を断ち切ろうと孤軍奮闘していたが、4月下旬に唐突に退任が発表された。在任わずか2年。前任社長で創業家出身の樫尾和宏(59)は会長に留任する。カシオに何が起きているのか。

 カシオのトップ人事発表は4月22日。取締役常務執行役員兼最高財務責任者(CFO)の高野晋(64)が社長に昇格し、現社長の増田は顧問に就任予定という。  

 社長交代の理由について同社は「2026年度から新たな中期経営計画(中経)が始まるのを機に次の世代にバトンを渡す」と説明した。それを額面通り受け取って記事にした〝御用メディア〟もあったが、あるアナリストは「現行の中経は期間が23〜25年度。最終年度の今、社長が変わるのは極めて不自然」と指摘する。

噂される「不仲説」 

 真相を解くカギは日程にある。社長交代の日付は6月27日、定時株主総会の開催日だ。3月決算企業は4月の年度初めに体制刷新を行うのが最近の流行で、カシオでも2年前の社長交代は4月1日だった。社内事情に詳しい同社元幹部は「予定外で急遽決まった人事に違いない」と解説する。  

 その「予定外の事情」について関係者やアナリストたちの間でしきりに取り沙汰されているのが、会長=社長の「不仲説」である。

......続きはZAITEN7月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

「脱創業家社長」を2年でクビにしたカシオで続く〝果てしなき漂流〟

【特集】製薬業界〝火花散る〟波乱の総会展望

【特集】「株主優待」に依存する企業のあさましさ

【特集】地銀「モノ言う株主・金融庁連合」で強まる再編圧力

【特集】東京電力「資金繰り破綻危機」で問われる経営責任

【特集】SBI北尾吉孝「フジテレビ支配」の野望

【特集】フジテレビ「経営陣 vs. アクティビスト」全面抗争

日本郵政「増田トンズラ」で沸き立つ旧郵政官僚

東京メトロ「1兆円上場」でも〝半官半民〟の限界経営

エーザイ〝不肖息子〟への代替わりに拭えぬ不安