ZAITEN2025年12月号

〝禁じ手〟も厭わぬ「課徴金2億円」以上の罪深さ

ハーレー日本法人〝白頭鷲〟の翼をもぎ取った「プロ経営者」

カテゴリ:企業・経済

 コストプッシュ型の〝悪いインフレ〟を、需要が主導する〝良いインフレ〟に変えていくために、公正取引委員会が最も重視するのは、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」だ。  

 翼を広げた白頭鷲がシンボルのアメリカを代表するオートバイ、「ハーレーダビッドソン」を販売する日本法人「ハーレーダビッドソン(HD)ジャパン」(東京都新宿区)。その前社長である野田一夫が行った行為は、この優越的地位の濫用に問われた。2億1147万円という巨額の課徴金納付命令を伴う排除措置命令が決定した2025年9月18日、朝日新聞は『「自爆営業」を強要』と書き立てたが、実態はそんな生易しいものではなかった。

 日本法人の関係者は野田の手法をこう断じる。 「彼のやったことは、経営ではない。本人以外、粉飾された実績を誇る者は誰もいない」

 日本法人は、アメリカ・ミルウォーキーにあるHD本社と正規ディーラーの中間に立つ。資本金4000万円で設立された米国本社の100%子会社だ。正規販売店を統治し、新車販売を核にして売り上げを伸ばすことが至上命題として課せられた日本法人は、コロナ禍の最中である20年に野田が代表取締役に就任し、本国からの要求を無制限に正規販売店に求めるようになった。

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