ZAITEN2026年1月号
医療現場を中心に業界をざわつかせている
武田薬品「大阪工場建設見直し」で〝国策〟大混乱
カテゴリ:企業・経済
血友病などの希少疾患の治療や救急救命処置に使う「血液製剤」を巡り、武田薬品工業の一部製品が出荷停止に陥り、医療現場を中心に業界をざわつかせている。製造する成田工場(千葉県)で「異常値」が見つかったことを理由としているからだ。
折しも武田薬品は9月末に大阪市内で建設中だった血液製剤新工場の計画を見直すと公表。当初は2028年度竣工としていたが、建設費高騰などを背景に着工を延期するとしており、完成時期も分からない状況に陥っている。厚生労働省は武田を軸とした血液製剤国産化構想を描くが、こうした体たらくに医療現場からは、「安定供給が図れるのか」と心配する声があがる。
血液製剤とは、人間の血液を原料とする医薬品を指し、「全血製剤」「血液成分製剤」「血漿分画製剤」の3つに大別される。このうち、血液から水分を分離して濃縮した血漿分画製剤を血液製剤と呼ぶことが多い。
血液が原料になるため、安全性などの観点から日本は血液法に基づき血液製剤を国内完全自給することを〝国策〟として掲げている。だが、需要に対して生産設備が限られていることから一部製品は不足しているのが実情で、その分を海外から輸入せざるを得ない。このため、厚生労働省はその解消を目指している。 そこで、期待されていたのが前出の武田の大阪新工場だった。
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