ZAITEN2022年06月号

そもそも動物が棲める環境ではない

JFEスチール「川崎製鉄所で猫見殺し」の非道

カテゴリ:企業・経済

300px-Ogi-shia_Artificial_Island_Aerial_photograph.2007.jpgJFEが所有する人工島の扇島(Wikipediaより)

 神奈川県川崎市川崎区と横浜市鶴見区にまたがる臨海工業地帯、海底トンネルを経由してしか行けない陸から隔たれた、「扇島」という面積約550万平方㍍の人工島がある。日本製鉄に次ぐ国内第2位の鉄鋼メーカー、JFEスチールが旧日本鋼管時代の1970年代に製鉄所(高炉)建設のために海を埋め立てたこの島は、全域が同社の私有地だ。


 島に渡れるのは同社関係者だけで一般人の立ち入りは禁止されているが、どういう経緯からか、ここに野良猫が住み着くようになった。そうした猫たちの世話は、島に勤務するJFEやその協力会社の従業員たちの一部が自主的に餌をやるなどして行われてきた。


 だが、JFEは10年ほど前から従業員たちによる猫の餌やりを厳しく禁止。近年は島の各エリアに監視カメラを設置し、従業員が猫に餌をやっている現場を押さえようとするようになったほか、通勤用の自家用車の車内に猫の餌を置くことも禁じ、抜き打ちで車の点検さえするようになった。違反者には始末書を書かせ、再度の違反があった場合は解雇すると通告された人もいたという。


 一方でJFEは、外界から隔絶された自社の私有地に取り残されている猫たちを保護したり、捕獲して不妊手術を受けさせたりといった措置はまったく行ってこなかった。論理的に「絶滅」以外に帰結しようがない方針が取られたことにより、島では飢え、あるいは事故で亡くなる猫が続出した。


 扇島のある部署で働く従業員は次のように証言する。

......続きはZAITEN6月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

SBI北尾が宣う「新生銀の上場時時価総額」に市場が難色

ダルトン「買収防衛策」包囲網で万事休す

田辺三菱「高給取り新経営陣」起用の〝放蕩ぶり〟

日本製鉄〝鬼っ子〟USスチールの「深刻な危機」

令和の「信用金庫・信用組合クライシス」

東京電力 経産省が完全国有化目指すも「資金繰り破綻」寸前

【特集2】東急の「渋谷再開発」がダメダメな理由

【特集1】「洋上風力開発破綻」で始まる〝撤退ドミノ〟

【特集1】中西社長に問われる〝責任問題〟追及の大合唱

【特集1】三菱商事が抱える「欧州最大規模の環境汚染」