ZAITEN2022年08月号

【著者インタビュー】『田中角栄がいま、首相だったら』田原総一朗

カテゴリ:インタビュー

『田中角栄がいま、首相だったら』
プレジデント社/1760円(税込)

たはら・そういちろう― 1934年滋賀県生まれ。岩波映画製作所、テレビ東京を経て1977年フリーのジャーナリストに。現在は、テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」、BS朝日「激論!クロスファイア」に出演中。『日本の戦争』『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』『大宰相 田中角栄 ロッキード裁判は無罪だった』など著書多数。

―田原さんのこれまでの著書とは傾向が変わりましたね。

 なぜ本書でわざわざ「田中角栄」を登場させたのか。そこに着目してもらいたいんです。吉田茂でも、岸信介でもない。角栄を選んだ理由はそこにあります。それは「政治を庶民の手にもう一度、引き戻す。庶民のための庶民による政治。それが必要なんじゃないか」ということを言いたかった。だから、角栄なのです。東大卒でも官僚出身でもない。新潟の家畜商の倅で尋常小学校を出ただけの「庶民の代表」を絵に描いたような政治家が、今の世の中をどう見るのか―を考えてみたのです。

 そうした作業から見えてきたのが、「庶民が取り残されている」という現実です。日銀総裁、黒田東彦の6月の発言「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」は、その典型例でしょう。結局は批判が殺到し、翌日の参院財政金融委員会で謝罪に追い込まれたが、これだけ国民が生活苦で喘いでいるのに、どれだけ無神経なんだ、と。ただ、ここで深刻なのは、黒田発言は決して〝失言〟ではないということです。黒田は用意された原稿をそのまま読んだだけ。中央銀行、もっと言えば、日本政府が「今の日本のこの状況を庶民が受け入れている」と判断している、あるいは、そういうことにしてしまいたいということにこそ、問題の根深さがある。  

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