ZAITEN2022年012月号

「露石油裏流通」誤報で露呈した日経新聞の〝深刻な人材難〟

カテゴリ:政治・国際

〈ロシア石油、海上取引の「瞬間」 公海上で監視甘く〉。ウクライナ侵攻を機に西側諸国がロシア石油の輸入を控えるなか、ギリシャ沖でタンカーを横づけして石油を移し替え欧州に運ぶ「裏ルート」の存在を、日経新聞が華々しく一面に報じたのは9月9日のことだった。

 取材のデータ分析などに1000時間以上かけたという日経渾身の〝スクープ〟だったが、28日には一転、写真のタンカーが移し替えていた石油が〈ロシア産石油の可能性が低い〉として、一面に訂正記事を載せる大失態となった。

「原因の1つは現場と編集のコミュニケーション不足。現場記者は掲載前から『タンカーが載せているのはロシア産石油か確実ではないので載せないで欲しい』とデスクに伝えていました。デスクは現場の話を伝えたうえで写真を使っていいか、上司の調査報道グループ長に相談しましたが、グループ長は内容を勘違いしたままGOサインを出し、大誤報が生まれてしまいました」(日経新聞記者)

 誤報を生んだ社会・調査報道ユニット調査報道グループができたのは2021年春。複雑化する社会情勢を背景に、いわゆる「政治部」「経済部」「社会部」といったタテ割りでの担当制を廃止し、ジャンル横断で取材をする「ユニット制」へ移行する日経の組織改革から生まれた、まだ若い部署だ。

......続きはZAITEN12月号で。

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