ZAITEN2025年10月号
与野党の「無策」に乗じて―
藤木経産省が画策する「国家資本主義」
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先の参院選で自民、公明の与党が大敗した一方、衆参両院で多数を握った野党も人気取りのバラマキ政策に走るばかりで、まともな経済政策を示せていない。こんな政治の〝体たらく〟の間隙を突くように、経済産業省が産業政策から税財政、果ては教育制度まで自らの意のままに操ろうと、「国家資本主義」の実現に野心を燃やしている。
背景には、「頭脳明晰な自分たち官僚が経済全体を先導しなければ、日本は後進国になってしまう」との歪んだエリート意識が見え隠れする。すでに死に体の石破茂政権がいつまで続くかにかかわらず、日本は官僚支配の時代に逆戻りしそうな気配だ。
大臣不在の言いなり人事
「新しい体制のもとで国内投資と賃上げ、地方創生、経済安全保障、GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びエネルギー政策など重点政策を推進する。足元で重要課題を抱える幹部の多くは、継続性の観点から留任とした」
経済産業相の武藤容治は6月下旬に発表した今夏の経産省幹部人事をこう説明した。だが、実態は筆頭局長の経済産業政策局長から事務次官に昇格した藤木俊光(1988年旧通商産業省)らの言いなり人事で、大臣としてのリーダーシップは微塵も感じられなかった。外務、旧通産大臣などを歴任し自民党の重鎮だった武藤嘉文の子息で「毛並み抜群」(与党筋)とはいうものの、政治家としての力量不足は明らかだ。
安倍・菅政権時代に「党内野党」をかこち、自民党内に有力な子分がいない首相の石破から「上司には決して反旗を翻さない」という従順さを買われて、分不相応な経産相に抜擢されたのが実情だ。実際、閣僚に就いて以降も本来なら最大のマンデートであるはずの日米関税交渉にほとんど関与させてもらえないなど「ハジパイ」扱いされてきた。
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