ZAITEN2025年10月号
殿の〝ご乱心〟を諫める忠臣は現れるか
【特集】ソフトバンク孫正義がのめり込む「AI進軍ラッパ」の危うさ
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表舞台から姿を消していたソフトバンクグループ総帥の孫正義が復活し、進軍ラッパを吹き始めた。 生成AI「チャットGPT」を開発した米オープンAIに巨額投資など、〝博打ビジネス〟には危うさが付きまとう。
「人間の1万倍の知能を持つ人工超知能(ASI)が今後10年以内に実現する。世界最大のASIプラットフォーマーになるため、オールイン(総賭け)している」。ソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長の孫正義は6月下旬に開いた株主総会で、詰めかけた株主を前にこう嘯いた。
3年前の春に10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」で巨額損失を出し、逃げるように表舞台から去った姿がまるで嘘のようだ。昨年来の人工知能(AI)バブルのお陰で投資先の企業価値が回復し、〝博打ビジネス〟の進軍ラッパを再び吹けるようになった。
調子に乗る孫は、生成AI「チャットGPT」を開発した米オープンAIに最大300億ドル(4兆5000億円)を追加出資する方針を公表。データセンターなど米国でのAI関連のインフラ開発に4年間で5000億ドル(約75兆円)を投じる「スターゲート計画」もぶち上げた。「孫復活の狼煙」(SBG幹部)というわけだ。
国家予算に匹敵する資金
だが、期待先行のAIビジネスは多額の開発費用がかかる一方、明確な収益化の道筋が描けているわけではない。市場で2000年代初頭のITバブル崩壊の再来を懸念する声が燻る中、AIに狂奔する孫の様子は投資家の不安を誘っている。 「直感で160億ドル以上の資金をつぎ込んだ挙句、経営破綻した米シェアオフィス大手、ウィーワークの二の舞にならなければいいが......」
......続きはZAITEN10月号で。