ZAITEN2025年10月号

報道倫理に対する重大な挑戦―

【特集】読売新聞「石破首相退陣へ」〝大誤報〟の傲慢

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 新聞やテレビによってニュースに触れる人も、インターネットだけでニュースを読んでいる人も、7月23日に報じられた石破茂首相退陣をめぐる報道には困惑したのではないだろうか。午前中には一部のメディアが「石破首相退陣へ」と報じたものの、夜になると多くのメディアが、石破が即時退陣を否定したと伝えたからだ。  

 7月20日に投開票が行われた参議院議員選挙で、自民党は改選前の52議席から39議席に減らす敗北を喫した。連立与党を組む公明党も6議席を減らし、過去最少の8議席しか獲得できなかったことから、与党で47議席と過半数割れ。衆議院に続いて参議院でも少数与党に追い込まれた。

 この結果が見えつつあった開票途中から石破は続投を口にし、惨敗を受けての記者会見で正式に続投を表明した。これに対して、党内や地方組織から責任を問う声が挙がる一方、石破個人の責任ではなく、派閥の政治資金裏金問題や旧統一教会問題などに敗因があるとして続投を支持する声が閣僚などから出ていたのが、7月22日までの状況だった。

 そこから最初に「石破首相退陣へ」と伝えたのは毎日新聞。23日午前11時16分にインターネットで「石破茂首相は23日、自民党が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明する意向を固め、周辺に伝えた」と記事を配信した。

 すると、読売新聞は午後に「石破首相退陣へ」と号外を出した。号外を出したのは読売新聞だけである。夕刊でも同様に伝え、見出しには「月内にも表明」と毎日新聞よりもさらに踏み込んだ。「退陣の意向を固め、周辺に伝えた」として、23日午後の首相経験者との会談で「こうした考えを説明する」と断定。「退陣意向を受け、自民は総裁選日程の検討に入る」とまで書いている。

 しかし、午後に開催された石破と麻生太郎、菅義偉、岸田文雄ら首相経験者との会談では、退陣の話は「一切出ていない」と各社が報じた。さらに、石破はその日のうちに即時退陣を否定した。それでも、毎日新聞と読売新聞は翌24日の朝刊でも「石破首相退陣へ」と伝えたのだった。

 本稿を執筆している8月21日現在、参院選の投開票から1カ月が経過したが、石破が退陣した事実はない。2紙による「石破首相退陣へ」も、読売新聞が書いた「月内にも表明」や、首相経験者との会談での退陣意向を伝えるといった内容も全て〝誤報〟で終わっている。

......続きはZAITEN10月号で。

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