ZAITEN2026年1月号

石破コメ農政改革〝ちゃぶ台返し〟で高笑い

【特集1】自民農林族・JA「おこめ券農相」で減反政策死守

カテゴリ:政治・国際

元農水官僚、農林族議員、「JAの代弁者」―。三拍子揃った鈴木憲和農林水産相の誕生で、 コメ減反政策が再始動。旧態依然の〝利益誘導〟が復活する。

 石破茂前政権のコメ農政改革は白紙撤回だ―。自民党農林族議員やJA幹部が沸き立っている。高市早苗政権で元農水官僚の「バリバリの族議員」(自民党筋)である鈴木憲和(43歳)が農林水産相に抜擢され、期待通りに石破前政権が8月に決めたコメ増産方針を撤回する役回りを演じてくれたからだ。鈴木が強調する「需要に応じた生産」は農水省主導の生産調整によって米価維持を図る減反政策を意味するお決まりのフレーズ。コメの店頭平均価格が5㌔当たり4300円を超えて過去最高値を付ける中でも、消費者を二の次にしてJAなど「身内」の既得権益の死守に邁進する農相の姿は、高市政権の旧態依然とした利権体質をさらけ出している。

米価高騰を正当化

「コメの価格はマーケットで決まるもの。政府が洋服の値段に介入しないのと同じように、コメの価格にもコミットすべきではない」。鈴木は農相就任後のテレビのインタビューでこんな牽強付会な屁理屈をこね、「令和のコメ騒動」前の2倍以上に跳ね上がった米価を正当化した。さらに「どんなものでもいくらが適正か、政治や行政が申し上げるのは、生産者の立場から果たしてどうなのか」と、〝農家目線丸出し〟の発言まで繰り出した。

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