ZAITEN2024年01月号

権力の監視を怠る「大マスコミ」に存在意義はない

小塚かおる「安倍晋三 vs. 日刊ゲンダイ」

カテゴリ:インタビュー

安倍晋三VS.日刊ゲンダイ10年戦争_書影.jpg『安倍晋三VS.日刊ゲンダイ「強権政治」との10年戦争』
朝日新聞出版/¥890円+税

こづか・かおる―1968年、愛知県名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て2002年、「日刊ゲンダイ」記者に。19年から現職。

―『安倍晋三vs.日刊ゲンダイ「強権政治」との10年』(朝日新書)の執筆動機を教えてください。
 安倍晋三元首相が銃撃で亡くなり、その後に国葬があり、現在は安倍さんを称賛する人と反安倍で分断が進んでいます。その中で、安倍政権について冷静に分析して検証をする必要性を感じました。『日刊ゲンダイ』としても〈検証・安倍晋三と安倍政権の8年8カ月〉と題し、特別号という形で世に出しましたが、それは銃撃事件直後に出しているので、もう少しゆっくりとさまざまなテーマで考えてみたいと思い、本書を執筆しました。自民党に関する章は、私自身が政治を取材する中で、特にこの10年思ってきたことを書きました。 ―安倍政権以降の自民党と、それ以前の自民党の違いについて思うことを教えてください。  

 2009年に自民党が下野したということが一番大きかったと思いますが、安倍政権以前の自民党は与党である〝慎み〟があったと思います。議員一人ひとりが、「与党だからといって驕ってはいけない」と考える人が多かったですが、第二次安倍政権ではそれがすっかり失われてしまいました。  

 民主党政権が3年3カ月しか続かず、自民党が復活して第二次安倍政権が発足しましたが、自民党議員のマインドが「とにかく野党にはなりたくない」というのが第一になってしまった。55年体制下の「自民党対社会党」という構図の中から生まれたものではありますが、自民党は自分たちのことを「国民政党」と言ってきたところがあります。かつての自民党は幅広く「右から左まで」を包摂する寛容さがありました。  

 しかし、安倍さん以降の自民党は岩盤保守層をコアな支持層として大事にしています。選挙に勝つためにはその人たちを大事にするのがいいということで、国民全体よりも岩盤保守層を重視する政党になっていったと思います。  

 やはり、3年3カ月という野党時代は短すぎたのでしょう。もっと長ければ反省して、日本の国作り自体も変わったと思いますが、与党に返り咲いた時に「もう絶対に政権は手放したくない」という歪んだ政権への執着が生まれてしまいました。安倍さんは選挙に強く、安倍さんならずっと与党でいられるというところで結束していました。  

 政権に執着するという意味では、立憲民主党などは見習った方がいいと思いますが、行き過ぎた政権の執着になると、選挙で支持層以外に耳を傾けなくなり、結果として分断を生んでしまいました。街頭での応援演説で安倍さんは「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言しました。この発言からもわかりますが、安倍さんは自分に反対する人に対しては敵意をむき出しにしていました。そんな安倍さんにはもはや与党としての〝慎み〟は微塵も感じませんでした。

......続きはZAITEN1月号で。

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