ZAITEN2024年05月号

農業振興で地域からうねりを起こす

鈴木宣弘 脱・「今だけ、金だけ、自分だけ」

カテゴリ:インタビュー

2405S_国民は知らない_ 書影.jpg『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』鈴木宣弘・森永卓郎(共著)
(講談社+α新書)/¥900円+税

すずき・のぶひろ―1958年生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科教授。東京大学農学部卒業。農林水産省に勤務後、学界へ転じる。九州大学大学院農学研究院教授などを経て、2006年9月から現職。著書に『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』(講談社+α新書)など。


 農政の憲法と呼ばれている食料・農業・農村基本法が25年ぶりに改正されます。気候変動や異常気象で世界的に農作物の不作が頻発し、そこにロシア・ウクライナ戦争のリスクも加わり、食料が今までのようにお金を出せば輸入できるという考えがもはや通用しません。

 そのような状況での改正だったので、今苦しんでいる国内の農家を支え、国民の命に直結する食を守り、食料自給率を向上させる政策を打ち出すのではと期待しました。しかし、蓋を開けてみると、食料自給率向上という言葉自体が条文の中になかったのです。

 食料安全保障に関しては、「平時」と「有事」を分けるとしている。平時から食料自給率を高めて備えるのが真の食料安全保障ですから、そもそも「平時」と「有事」を分ける意味があるのか。 「輸入元の多様化」と「商社などによる海外農業生産への投資拡大」を掲げていますが、食料危機が起こった時、自国に優先して日本に売ってくれることを期待するのは現実的ではないです。そして、紛争などにより物流が止まったらおしまいです。本来はまず国内生産を増やす議論が先に来るべきなのです。

......続きはZAITEN5月号で。

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