ZAITEN2024年09月号

家族への連絡なく「外来受診を希望しない」と主治医に申告

介護大手「ツクイ」利用者の骨折事故を隠蔽

カテゴリ:事件・社会

 業歴40年を超す介護業界の老舗で2021年まで東証一部(当時)に上場していたツクイ(本社・神奈川県横浜市)。特に日帰りのデイサービスは全国47都道府県に550超の拠点を持ち、利用者数が月間5万人を超えるという業界最大手でもある。  

 そのツクイが長年築いてきたブランドをゆるがす不祥事が発覚した。同社が全国約50箇所に擁するグループホームの1つ「ツクイ平塚徳延グループホーム(平塚徳延GH)」で入居者が大ケガを負う事故が発生。さらに、その事実を隠蔽しようとしていたことがわかったのだ。

 関係者の証言をまとめると、ツクイ平塚徳延GHで、23年5月17日の夕刻、当時92歳の女性入居者I氏が脚部に激痛を訴えた。原因は未だに特定されていないが、この時すでにI氏は脚を骨折していたとみられている。脂汗を滲ませながら号泣するなど、I氏の尋常でない様子に驚いたスタッフの中には骨折を疑い「すぐに整形外科に連れていくべき」と主張する者もいた。しかし、ホームの現場を差配する管理者やケアマネジャーたちは、「まずは様子を見る」「ホームが提携しているクリニックの元主治医X氏を飛ばして別の病院に連れて行くわけには行かない」などと主張。結局I氏が診察を受けられたのは、痛みを訴え始めてから24時間近くが経った18日の夕方だった。さらにこの診察も当日の14時過ぎに往診を依頼するなど直前になってからの対応で、しかもX医師のこの時の診断は「老齢からくる膝関節症」。まったくの誤診だった。

 だが、I氏が痛みを訴える箇所が膝ではなく大腿骨全体に広がっており、痛さのあまりおむつ介護さえまともにできない状況を現に見ている介護スタッフたちからすれば、ただの関節痛ではないことは明白だった。そのため一部のスタッフはX医師の診断の後、なおも整形外科を受診させるべきだと進言したが、管理者らはX医師から「骨折の可能性はまずない」「痛み止めを投与して様子を見るように」と言われているとして、受診させるのを忌避し続けた。

 実際にI氏の介護にあたっていたスタッフの1人であるK氏が、当時の状況を証言する。 「Iさんが痛みを訴え始めて1週間が経つ頃には、太腿全体が腫れ上がり、大きな痣を肉眼で確認できるほどになりました。Iさんは本来非常におしとやかな人だったのですが、介助の際に痛みから『ろくでなし! 人でなし!』とスタッフを罵るまでに精神的に荒んでいました。こうした一連の経過をケアマネジャーのMや管理者は当然知っていました」

......続きはZAITEN9月号で。

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