ZAITEN2025年03月号
「ファンドと卸でコントロールできるのか」
メディパルHD「業界再編」を狙う〝危険すぎる野望〟
カテゴリ:企業・経済
イスラエルのジェネリック医薬品(後発薬)大手テバと武田薬品工業の合弁、武田テバファーマの身売り先が2024年12月、国内投資ファンドであるジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と医薬品卸大手のメディパルホールディングス(HD)の合同会社に決まった。政府の促進策を背景に後発薬市場が拡大するとみて、テバは日本市場に参入したが、薬価が低いといった厳しい市場環境を踏まえ、24年5月に売却を検討していることを明らかにし、「誰が買い手になるのか」と業界の関心を集めていた。同業他社やファンドなどさまざまな名前が取り沙汰されたものの、蓋を開けてみれば、後発薬メーカー大手の日医工や共和薬品工業を傘下に持つJWP・メディパル連合が手に入れることになった。だが、過去を振り返れば傘下の各社は悪質な製造・品質問題を相次いで起こしてきた。早くも「ファンドと卸でコントロールできるのか」(競合幹部)との声も聞こえる。
武田テバファーマは16年、テバが51%、武田が49%を出資する形で発足した。そこに至るまで複数社が合併してきたのだが、その前身となる1社が大洋薬品工業だ。
「実はこの大洋薬品工業は〝札付き〟の後発薬メーカーだったのです」。ある業界関係者は声を潜める。10年に原料などの配合ミスが判明した医薬品をそのまま出荷するなどしたことが発覚し、高山工場(岐阜県高山市)が9日間の業務停止処分を食らった過去があるのだ。不正の舞台となった高山工場は後に日医工に売却したが、「こうした腐った企業風土は全社に蔓延しています。他社と統合したり、株主が変わったりしたからといっておいそれと改善できるわけがありません」と前出の業界関係者の表情は険しい。
......続きはZAITEN3月号で。