ZAITEN2025年05月号

権謀術数が渦巻く社長人事

【特集】「ポスト木原」も旧興銀勢有力で〝内紛再燃〟

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 みずほフィナンシャルグループ(FG)社長の木原正裕(1989年、旧日本興業銀行)が経団連副会長に内定し、水面下で次期社長選びの動きが始まっている。大規模システム障害に伴う経営陣総退陣で2022年2月にFG執行役から抜擢された木原はまだトップ就任3年だが、本人は弟である元官房副長官の木原誠二と「日本の未来を創っていきたい」などと宣い、早くも財界活動にご執心のご様子。このため、来春には経営の指揮を後継に託し、FG会長に就くと見られている。ポスト木原は表向き社外取締役で構成するFG指名委員会(委員長=小林喜光・東京電力ホールディングス会長)が選出するが、実際は木原の意向次第。母体である旧3行の確執が消えない中、下馬評通りに旧興銀勢が再び指名されれば、他の2行の不満が高まり、内紛再燃の火種となる恐れがある。

筆頭格は米澤と白石

「社風改革では『ともに挑む。ともに実る。』という、みずほが果たすべき役割を示した『パーパス』を定め、業績面でも中期経営計画(23年度から3カ年)の数値目標を1年前倒しで達成できる見通しだ。信頼回復と成長に向けた基盤は整った」。木原は最近、社内でしきりに自らの成果を強調しているという。21年に頻発したみずほ銀行(BK)のシステム障害で地に落ちた信用や業績を自らの手で回復したとアピールしているわけだ。周辺筋によると、弟の誠二が首相を目指していることや、次期経団連会長に金融界出身で初となる筒井義信(日本生命保険会長)が内定したことを引き合いに、「次の財界総理は自分」と意欲を燃やしている。

 木原が妄想を膨らませるのは勝手だが、みずほにとって問題は後継者が誰になるかだ。過去のトップ選びでは旧3行の確執が表面化し、決まって組織がガタついた。木原は「旧3行なんて昔の話」と嘯くが、過去3代にわたって旧興銀勢がFG社長を独占してきたことに対する旧第一勧業銀行、旧富士銀行勢の恨みは根深い。  

 ポスト木原の有力候補として取り沙汰されている面々を見てみよう。木原体制で主要ポストに配置された旧興銀勢は候補がひしめき合う。筆頭格はともに93年入行組のFG最高財務責任者(CFO)兼BK常務執行役員の米澤武史と、FG最高リスクガバナンス責任者(CRO)兼BK常務取締役の白石志郎。23年からCFOを務める米澤は社内で「リストラ屋」の異名を取るテクノクラートだ。


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