ZAITEN2025年05月号

社外取は「貸金庫事件」の隠蔽を知っていたのか

【特集】経営陣と一心同体〝お飾り〟社外取締役の機能不全

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「過去に当行の元行員が貸金庫からお客さまの資産を窃取する事案が発生していたことは事実です」

 みずほ銀行が元行員による貸金庫からの窃盗事件を公表したのは今年2月18日。しかし、事件が発覚したのは2019年のことだ。しかも、発表内容は元行員を懲戒解雇処分にしたことと、被害は顧客2人から盗んだ現金数千万円だったことに留まるなど曖昧なものだった。  

 同じメガバンクの三菱UFJ銀行の元行員が、金塊を顧客の貸金庫から盗んだとして逮捕されたのが今年1月。他にも金塊や現金を結んだとして、3月10日時点で逮捕は3度に及び、被害総額は金塊7億円相当、現金10億円以上に上っている。三菱UFJ銀の事件は、昨年10月に顧客から申し出があったことで発覚した。一方、みずほ銀の事件はそれよりも前に内部で発覚していたにもかかわらず、隠蔽されていたのだ。

 みずほ銀は2月27日になって改めて会見するとともに、事件の内容を明かした。懲戒解雇された元行員は広尾支店に勤務していた当時30代の女性。16年1月から19年6月にかけて、顧客2人の貸金庫から6600万円を盗んでいたことが19年8月に発覚し、10月に懲戒解雇されている。しかも、この女性は21年2月に融資代わり金5200万円をみずほ銀から盗んだ容疑で逮捕されていた人物だった。ただ、みずほ銀は貸金庫からの窃盗については、金融庁への報告だけで済ませている。また、この会見で頭取の加藤勝彦は謝罪したが、テレビカメラの撮影は許されなかった。  

 みずほフィナンシャルグループ(FG)とみずほ銀に、これまでも不祥事が相次いでいることは周知の通りだ。21年には9回にわたるシステム障害が発生したことで、同年11月にみずほFGが金融庁から業務改善命令を受けたほか、みずほ銀は財務省から是正措置命令を受けた。今回明らかになった元行員による貸金庫窃盗事件は、金融庁や財務省から命令を受ける前に発覚していた。貸金庫から盗んだ事件は、逮捕された事件より被害金額が大きく、被害者は顧客だ。本来であれば明らかにするのが当然である。

事件を隠蔽した旧興銀トップ

 本誌取材班はみずほFGとみずほ銀に対して、複数の質問を行った。貸金庫事件が発覚した際に発表しなかった理由や、警察に通報したのかどうかなどについて質したところ、以下の回答があった。

......続きはZAITEN5月号で。

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