ZAITEN2025年06月号

情報の独占、癒着、働かない記者……

【特集】海外ジャーナリストから見た異常性

カテゴリ:事件・社会

【ジェイク・アデルシュタイン】ジャーナリスト。米国・ミズーリ州出身。1988年に来日。上智大学で日本文学を専攻。92年、読売新聞記者として日本の暴力団取材を12年以上間続ける。読売新聞社退社後、『ワシントン・ポスト』雑誌『GQ』などに寄稿。『LAタイムズ』の特派員も務めた。おもな著書に『Tokyo Vice』。本誌にて「外国人特派記者 日本を切り取る」を連載。

【つじい・なおき】小説家。京都芸術大学教授。早稲田大学第一文学部仏文専修卒業。読売新聞記者、NHK番組制作ディレクター等を経て、2000年、『無頭人』(朝日新聞社刊)で第11回朝日新人文学賞(朝日新聞社主催)を受賞。『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』(以上、講談社刊)などの現代文学から、エンタテインメント小説に至るまで、幅広く執筆。最近作は時代小説『主君押込』(KADOKAWA刊)など。

 筆者の2人─ジェイク・アデルシュタインと辻井南青紀は、1993年に読売新聞で記者として振り出した。のちに辻井さんがNHKに移籍し、筆者(ジェイク)は2005年まで「読売帝国」に留まった。その後、海外メディア「LAタイムズ」などの特派員として活動した。筆者らは記者クラブという制度の恩恵を少なからず受けてきた側の人間である。1度その「内側」から離れた筆者らが、改めて外側から眺めてみると構造的な問題や制度の歪みが浮かび上がって見えてくる。

 最近、筆者(ジェイク)はノルウェー・オスロで開催された「SKUP(調査報道に関する国際シンポジウム)」に参加する機会があった。SKUPは世界中のジャーナリストが参加して、調査報道の手法や成果を共有し、報道の自由や倫理が議論され、優れた報道を表彰するなど、世界の報道界に大きな影響を与えている。

 そこで出会ったのが、CNNの元ホワイトハウス特派員として知られるジム・アコスタ氏である。歴代アメリカ大統領に鋭く切り込んできたジャーナリストの語り口は、まさに「取材する報道」の体現だった。彼との対話は、私にとって非常に示唆に富むものだった。話題の中心は「プレスクラブ」─つまり、報道と権力の接点である。その制度が果たすべき役割と、時に果たしていない現実。そして、アメリカと日本、制度としての透明性と報道機関の自律性の違いについてである。  

 実はアメリカにも記者たちが行政機関と距離を保ちつつも便宜を受ける仕組みは存在する。だが、その透明性や参加の自由度は、日本のものとはまったく異なる。

......続きはZAITEN6月号で。

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