ZAITEN2025年08月号
国に規制してほしい
【特集】香害に家族の平穏を奪われた、ある女性の手記
カテゴリ:事件・社会
香害を訴える人々は何に苦しんでいるのか。香りや消臭抗菌成分によって、家族の平穏な日常を奪われた40代女性(四国地方在住)の手記を紹介する。
2015年頃から鈍い腹痛や強い頭痛がずっと続くようになり、1日起き上がれなくなることもあった。内科や脳神経外科、耳鼻科、婦人科、心療内科などを受診したが、原因不明と言われた。この頃、子どもが保育園から持ち帰るものに強い香りが付いており、嗅ぐと気分が悪くなったが、当時はそれが原因とは思いもよらなかった。19年に化学物質過敏症外来を受診、化学物質過敏症と診断された。
症状は子どもにも現れた。第一子が小学校から帰宅後、「お腹が痛い」と言って横になるようになったのは19年春頃。家にいる間、咳が止まらなくなった。小児科で喘息の薬をもらったが、止まらなかった。しばらく経って、子どもが「学校で香りを感じると頭が痛くなる」「香りの強いクラスメイトが近くにいると気分が悪くなる」と話したため、冬に化学物質過敏症外来を受診、診断が下りた。
学校ではクラスとは別教室で担任の先生がついて独りで勉強をすることになった。このため学校での他の児童との交流は皆無となった。現在、特別支援学校高等科に在籍。教育委員会が予算を出し、学校に無香料の洗濯石鹸やアルカリ剤の現品を給付し、教師や職員が自由に持ち帰って自宅での洗濯に使えるようになっている。
第二子は小学校で香害被害を感じていたが、友達の香りで気分が悪くなることを大人に言えば上の子のようにクラスの友達に会えなくなると思ってずっと隠していた。本人が症状を認めて以後、学校に香害資料やお願いのお手紙を持ち込んで配布していただき、担任の先生からも2学期の期末個人面談で直接、各家庭にお願いをしてもらった。教室の香料は改善されたが、同じ教室で学べるほどには良くならず、泣く泣く兄弟のいる別教室に移った。
......続きはZAITEN8月号で。