ZAITEN2026年3月号

「押し紙」重大内部資料を自ら提出

【特集1】毎日新聞が裁判で「新聞の秘密」を意図せず暴露

カテゴリ:事件・社会

読売以外の大手紙が脱却を図っているとされる押し紙。 毎日新聞も例に漏れないが、販売店相手の裁判で同社自身が暴露していた。

 2025年8月21日、大阪地裁で審理されている毎日新聞を被告とする裁判で、新聞のABC部数(考査機関が公表する公式の新聞部数)を、新聞社が水増しする仕組みを裏付ける資料が提出された。新聞の部数水増しは「押し紙」問題として、50年以上前から水面下で指摘されてきたタブーだ。  

 この裁判は、兵庫県芦屋市の元新聞販売店主が、24年9月に提起したものだ。皮肉なことに、物議を醸すこの証拠資料を提出したのは原告ではなく、被告である毎日新聞大阪本社だった。なぜ同社が、新聞の闇を暴露する証拠を、自ら裁判所に提出したのかは不明である。筆者の推測になるが、毎日新聞側の弁護士が、この資料が新聞業界全体に与える深刻な影響を見落としていたのではないか。  

 過去にも毎日新聞から、重大な内部情報が外部に流出した例がある。たとえば04年、同社の「押し紙」(広義の残紙)の規模を裏付ける資料「朝刊 発証数の推移」が、東京本社の社長室から外部に持ち出された。  

 この資料によると、02年10月時点で毎日新聞の発行部数は約395万部だったが、発証数(販売店が読者に発行した領収書の数)は251万枚にとどまっていた。差分の144万部が販売店で過剰となっていた新聞、すなわち「押し紙」であったことが裏付けられた。その割合、いわゆる「押し紙」率は全体の36%に達していた。  

 しかし、どのようなトリックで、莫大な「押し紙」がABC部数に組み込まれているのかについては、長らく不明のままだった。推論はあったが、それを裏付けるデータがなかった。  

 なお、新聞社がABC部数をかさ上げする理由は、ABC部数が増えれば紙面広告の媒体価値が高まる基本原則があることに加え、「張子の虎」としての存在感を誇示できるからだ。さらに、広報紙や選挙公報などの公共折込媒体はABC部数に準じて枚数が割り当てられるため、販売店側にも一定のメリットが生じる。  

 公になった資料の中身に踏み込む前に、裁判の概要を整理しておこう。

「押し紙」率が7割を超えた年も

 原告である元店主の鈴木さん(仮名)は、兵庫県芦屋市などで3店舗の新聞販売店を経営していた。しかし、「押し紙」による過重な負担で経営難に陥り、23年11月に廃業した。廃業に際し、毎日新聞は「押し紙」の仕入代金未納などを理由に、鈴木さんが開業時に同社へ預託していた信任金の返還を拒否した。

......続きはZAITEN3月号で。


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