2020/09/28

「規制改革」を騙る新型利権政治の正体

スガノミクスに群がる官僚と経営者たち

カテゴリ:企業・経済

hizumi_kantei.jpg和泉洋人・首相補佐官(首相官邸HPより)

「経済産業省の獅子身中の虫たちが一掃されたが、菅の側用人は一層パワーアップした。素直に喜べる状況ではない」――。菅義偉政権が発足した9月16日、霞が関にこんな複雑な感情が広がった。

「身中の虫たち」とは、安倍晋三最側近で首相補佐官兼秘書官だった今井尚哉(1982年旧通商産業省)と、その手下の経産省経済産業政策局長(日本経済再生総合事務局長代理補を兼務)の新原浩朗(84年同)、今井が最年少の首相秘書官に抜擢した佐伯耕三(98年同)や、首相補佐官兼内閣広報官だった長谷川栄一(76年同、元中小企業庁長官)のことだ。今井らは安倍前首相の威光を笠に着て、税財政からアベノミクスの成長戦略、外交まであらゆる政策を壟断しまくり、各省庁を下請けのようにあしらってきた。「安倍〝経産省〟内閣」と皮肉を込めて呼ばれた所以だ。

 ポスト安倍の宰相選びで、今井らは安倍の言いなりになる前自民党政調会長の岸田文雄の登板を期待していた。ところが、菅が自民党総裁選で岸田らを相手に圧勝、政権を握った以上、面々が官邸から追い出されたのは必然だった。

 ちなみに、安倍側近の「官邸官僚」でも北村滋(80年警察庁)だけはちゃっかり国家安全保障局長ポストに居残った。開成高校出身の国会議員や現役官僚・OBら500人でつくる「永霞会」の主要メンバーの北村も、同窓の岸田政権を待望していたはずで、本来なら外されてもおかしくはない。しかし、北村は「盟友とされた今井が預かり知らぬところで菅周辺に猛烈に猟官運動を仕掛けていた」(官邸筋)といい、謀略家の本領を発揮したと言えるだろう。

不倫醜聞も屁のカッパ
和泉補佐官の〝一強体制〟

 一方、「菅の側用人」とは首相補佐官を続投した和泉洋人(76年旧建設省)だ。関係筋によると、菅は横浜市議時代の90年に元建設次官の高秀秀信を横浜市長選に擁立した際に和泉と知り合い、その後もブレーンとして重用してきたという。東大工学部卒の技官の和泉は出身母体の国土交通省の出世レースでは住宅局長止まりだった。だが、小泉純一郎政権時代にバブル経済崩壊後も塩漬けされたままの大都市の土地再生計画を担当。後に東京ミッドタウン(六本木)や大阪のあべのハルカスなどにつながる都市再開発に道筋を付け、永田町で評価されるようになったという。

 09年7月には内閣府の地域活性化統合事務局長に抜擢されるなど、官邸官僚の走りとしてのし上がり、12年末の第2次安倍政権発足時に官房長官の菅の強力な後押しで首相補佐官の座を手に入れた。菅の側用人である和泉は、安倍の威を借る今井との間で陰湿な官邸の主導権争いを展開。和泉と厚生労働省医官の大坪寛子(08年厚労省)との不倫疑惑が『週刊文春』で報じられたのも今井一派の謀略とされる。ミャンマー出張時の大坪とのコネクティングルームの利用や、京都出張時に大坪にかき氷を仲睦まじく食べさせる「アーン写真」が暴露された。

 並の官僚なら精神的に参るところだっただろうが、安倍と親密な加計学園の獣医学部新設で文部科学省の当時の次官、前川喜平を脅し上げた和泉の神経は図太く、不倫醜聞など「屁のカッパの様子」(国交省筋)だったという。
 菅政権誕生で今井を放逐し、官邸が「和泉一強体制」となったことで、今後はこれまで手掛けてきた構造改革特区や「日の丸インフラ輸出」戦略などに加え、安倍前政権下では経産省の専売特許だった成長戦略にも「和泉が強引に介入してくるのは間違いない」(財務省幹部)と見られる。

......続きは「ZAITEN」2020年11月号で。

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