2020年12月号

スガノミクス“便乗銘柄”の内実

NEC「復活」のフェイクニュース

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 タマネギの皮をむくように主力事業を切り売りする「タマネギ経営」で売上高がピーク時から4割以上もガタ減りし、電機業界の負け組の烙印を押されてきたNECが俄かに活気づいている。

 6月にNTTと次世代通信規格5G分野などで資本・業務提携、645億円の出資を受けて「電電ファミリー連合の復活か」と脚光を浴びた。菅義偉政権のデジタル化推進路線を材料に、弱点とされてきた官公需依存のビジネスモデルは「スガノミクス特需の恩恵を受ける」と市場で持て囃され、株価は一時、1年前の約1・5倍の6000円超まで跳ね上がった。

 そんな「神風」に気を良くしたのか、社長の新野隆は「世界に打って出る」と嘯き、10月にはスイスの金融ソフト大手、アバロクを過去最大となる約2300億円超を投じて買収することを決めた。しかし、成長戦略もまともに描けず、もっぱら神風を享受するだけの新野NECの〝復活劇〟にはフェイクな腐臭が漂う。

「外様に敵愾心」のCFO

「松橋氏の電機業界に対する幅広い知見を次期中期経営計画の策定や実行に活かしたい」―。7月27日にNECが発表した役員級人事は社内や業界を驚愕させる内容だった。ゴールドマン・サックス(GS)証券マネージング・ディレクターだった松橋郁夫を引き抜いて役員級の「コーポレート・エグゼクティブ」に抜擢し、21年度からの新たな中期経営計画の策定・実行の推進役にするという。

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