2021年07月号

“不祥事のデパート”香川県の名門地銀「東京支店」で……

百十四銀行「かぼちゃの馬車」と綾田頭取の"コロナ接待"

カテゴリ:企業・経済

ayata.jpg綾田裕次郎頭取(百十四銀行公式サイトより)

2018年10月に報じた前頭取の女子行員セクハラ接待事件をはじめ、数多の不祥事を報じてきた本誌。そして、ここにきて東京支店で不可解な住宅ローン融資が発覚......。それでも頭取の綾田裕次郎は"どこ吹く風"のようで――。

「スルガ銀行の『かぼちゃの馬車』と事実上同じことが百十四銀行で行われている。間にサブリース会社を絡め、明らかに担保価値を上回るオーバーローンで物件を買わせて、融資審査もザル審査。仮に家賃収入が止まれば、多くの若者が破産を余儀なくされる状況に追い込まれています」  

 こう話すのは、刑事事件に詳しい加藤隆太郎弁護士。

「かぼちゃの馬車」とは女性向けシェアハウス、かぼちゃの馬車を巡る投資用不動産向け不正融資事件だ。2018年5月、都内を中心にシェアハウスのサブリース契約を行なっていた不動産会社スマートデイズが破産し、投資物件として購入した約700人のオーナーに対して賃料がストップ。被害総額は1000億円とされ、自己破産者が相次ぐなど大きな社会問題となった。

 このかぼちゃの馬車に不正融資を繰り返していたのが、静岡東部が基盤の第一地銀、スルガ銀行。事態を重く見た金融庁は18年10月、スルガ銀に対し、融資の審査書類偽造や改竄に行員が関与し、多額の貸し付けを行っていたなどとして、半年間の一部業務停止を命じる厳しい行政処分を出した。 「スルガショック」とも呼ばれる同事件。事件をきっかけに、多くの金融機関は不動産投資への融資に対して慎重姿勢に転じ、審査を含めた一連の契約事務手続きをより厳格化した。しかし、百十四銀に限っては、その教訓は全く活かされなかったようだ。それどころか、取材を進めると、その「悪質性」はますます際立ってくる。  

 前出の加藤弁護士が続ける。

「住宅ローンは顧客と銀行間の契約ですが、驚くことに百十四銀の場合、顧客は契約内容を何も把握していません。そもそも、行員から何の説明も受けていない。圧倒的に優越的地位にある銀行が、契約者である顧客に対して何の事前情報も与えず、次々に契約が成立してしまっている。優越的地位の濫用どころか、ほとんど詐欺的行為と言っても過言ではないくらいです」

 事実であれば、「重要な事項の顧客への説明」を定めた銀行法(第12条の2)に明らかに違反する。俄かには信じ難い話だが、本誌は取材で具体的事例を複数確認している。すでに金融庁もこうした情報を把握しているという。

不動産投資サークルの勧誘
舞台は日本橋の「東京支店」

「被害」を訴えているのは、契約当時いずれも20~30代の若年者。複数の関係者への取材を総合すると、概要は以下の通りだ。

 きっかけは「メイクマネークラブ」(現在は解散)と呼ばれる社会人サークルだった。実質的な主宰者は、都内の不動産会社代表のX。会費はなく、入会条件は25歳以上。サークルでXは、20~30代前後の若い会社員を中心に、不動産を所有することが日々の小遣い稼ぎになるだけでなく、社会的信用を得ることにもつながると、不動産投資を勧めていた。会員数は最大で100人程度といい、少なくとも12年頃から活動していたと見られる。  

 いずれの参加者も、友人や先輩から「不動産投資の勉強ができる」と誘われ、参加するようになった。Xの事務所で不動産関連の勉強をすることもあったが、活動の多くは飲み会で、参加費用も毎回無料。参加を重ねるに連れて、元メンバーらは次第に自分も投資用物件を購入したいという気持ちに傾いていったという。  

 入会から間もなくして、元メンバーらはXから都内の中古マンションを見繕われる。売買契約日は常に、百十四銀東京支店(中央・日本橋)へ住宅ローンの契約に行く当日だった。場所は支店近くの喫茶店「ルノアール日本橋高島屋前店」。そこには必ず不動産売買の立ち会い宅建士として、不動産会社代表のEがいた。

 いずれの物件も築20~30年、床面積50~60平米程度で購入価格は約3000万円。東京23区内だが都心とは言えず、山手線の外側で土地代が安い場所に物件が集中しており、どこかかぼちゃの馬車を彷彿とさせる。

 買い主の元メンバーらは例外なく、購入物件についての重要事項説明はなく、「言われるままに契約書に署名、捺印した」と本誌取材に証言する。中にはいつ、どの段階でサブリース会社と契約したのか分からない買い主もいるほどだ。その後、ルノアールを出た買い主は、その足で宅建士のEと2人で百十四銀東京支店へ行き、住宅ローン契約を締結している。

 百十四銀東京支店では、「T」あるいは「M」という、いずれも30代前後の若い行員2人が対応した。しかし、買い主の元メンバーらはここでも例外なく、住宅ローンについての説明を一切受けていない。ただひたすら、目の前に次から次へと出される契約関係書類に行員から言われるまま署名、捺印し続けたという。

......続きはZAITEN2021年7月号で。

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