2022年3月号

朝日新聞「カースト制」導入で記者の悲鳴

カテゴリ:企業・経済

 「新聞の凋落」。そんな嘆きすら聞き慣れて久しい。
 日本新聞協会によれば、昨年10月時点で、スポーツ紙以外の一般紙の発行部数は、3065万7153部と、前年に比べて約180万部減らした。朝日新聞も例外ではないものの、経営上は持ち直しの兆しが見られる。
 昨年11月29日に発表した9月中間連結決算では、売上高が前年同期比5・4%減の1315億1700万円、営業損益が31億2300万円の黒字となり、前年同期の92億9100万円の赤字から回復したと発表した。
 朝日によれば、7月に購読料を約300~400円値上げしたこと、さらには支出削減などにより黒字転換したという。

 とはいえ、発行部数は500万部の大台を割り込み、強化を続けているはずの朝日新聞デジタルも有料会員数は約30万人、直近5年での会員数増加は10万人弱にとどまり、頭打ちの感が否めない。
 昨年4月に社長の座に就いた中村史郎は、「朝日新聞を創り直す」をスローガンに掲げ、経営の立て直しを急ぐが、見通しは定かではない。そんな中村が打ち出したのが「記者カースト制」だというから穏やかではない。朝日新聞の中堅記者が語る。
「昨年末から、記者と上司の面談が増えています。聞かれることは、『あなたは何の専門記者になれますか?』の一点張り。政治や経済といった大きな括りではなく、デジタル法制度といった、かなり高度な専門性を求められています。答えに詰まると『それとも専門記者を支えるアシスタントになれますか?』と詰められます(苦笑)。どうやら、日本経済新聞が数年前に始めた『本社コメンテーター』を真似したいようです」

 この期に及んでは、紙で発行する新聞に見切りをつけるのは時間の問題であり、デジタルを主戦場にする以上、「この記者の記事を読みたい」と思わせるスターをつくる意向とみられる。
 朝日のデスクは語る。
「給料も相当な差をつけるようです。専門分野を持てない記者は、文字通り〝アシスタント〟としての給料しか払わないと噂されています。専門記者には、現状とほぼ同じ額を保証するということ」
 しかし、日本の新聞記者は、入社直後の地方支局でのサツ回り(警察担当)を振り出しに、数年で部署を転々とするゼネラリストがほとんどである。

 政治部や文化部、科学部などには確かに学者顔負けに知見を持っていたり、本を書いたりする記者もいる。とはいえ、大多数は典型的な日本のサラリーマンであり、名前や専門性でウェブの読者を惹きつけられる魅力に乏しい。
 別のベテラン記者は語る。
「結局、ほとんどの記者はアシスタントを選ぶしかない以上、実質的な退職勧奨です」
 しかも、朝日がモデルとする日経は成功しているかといえば、そうではないという。
「ウチが読まれているのは惰性というか習慣みたいなもので、記者が人気だとは聞いたことがありません」(日経デスク)

「発行部数世界一」のギネス認定を自賛する読売新聞にも、朝日同様に同じような気配が漂う。
「朝日を数年遅れで後追いするのがウチの悪い癖」(読売記者)
 急逝した朝日の元スター記者・外岡秀俊は、記事の質こそ重要だと力説した。闇雲に小手先を変えようとする経営陣には、聞こえていなかったのだろう。(敬称略)

......続きはZAITEN2022年03月号で。

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