ZAITEN2022年05月号

「コンサルタント」に掻き回される監査法人

【特集】EY新日本 vs. デロイトトーマツ

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2205_特集2_扉p026.jpg4大会計事務所の双璧をなすアーンスト・アンド・ヤング(EY)とデロイト・トウシュ・トーマツ (DTT)。その日本における主要メンバーである「EY新日本監査法人」と「デロイトトーマツコンサルティング」の間で、奇妙な〝紛争〟が続いている。きっかけは、岸田政権が看板政策に掲げる経済安全保障政策で売り出し中のコンサルタントを被告にした移籍を巡る民事訴訟だ。一審判決ではひとまずデロイト側に軍配が上がったが、司法が認めたコンサルの「不法行為」からは、東芝粉飾事件を受けて経営執行部が刷新され、コンサル重視に大きく舵を切ったEY新日本の知られざる〝お家事情〟が浮かび上がる。

 4大監査法人「ビッグ4」で双璧を為すデロイトとEY(アーンスト・アンド・ヤング)との間に、過去の因縁が入り交じった奇妙な緊張関係が生じている。
 導火線に火を付けたのが、東京地裁が今年2月16日、近年〝売り出し中〟のあるコンサルタントに「不法行為」を言い渡したことだった―。男の名は国分俊史。EYジャパン傘下のEYストラテジー・アンド・コンサルティングのパートナーだ。

 1975年生まれの国分は、米中覇権戦争に伴い必要性が叫ばれるようになった経済安全保障のイデオローグとして知られ、多摩大学ルール形成戦略研究所の所長も務める。3月、役所に届け出ずに民間で講演し高額の報酬を得ていた問題で辞職した前国家安全保障局審議官、藤井敏彦(1987年旧通商産業省入省)も同研究所の客員教授だった。
 国分に1億1768万円もの損害賠償を求めていたのはデロイトトーマツコンサルティング(DTC)。実は国分が2018年まで務めていたコンサルティングファームだ。古巣の会社が、なぜ国分を訴えることになったのか。

「チームごと買い取らせる」
メディアを使った謀略も...

 近藤がEYへ移籍すると、国分は自身の部下たちも引き連れてEYへ移籍できるよう動き始めた。デロイトのコンサル部門の中核を担っていた近藤−国分チームが
〝丸ごとの移籍〟を図ったのだ。  デロイトが裁判所に提出した証拠資料の中には、近藤−国分チームのメンバーが当時グループメールで交わした生々しいやりとりが残っている。 〈チーム一丸となって交渉することで、チームとして買い取らせるという印象を持たせています〉 〈年収は皆さんの希望通りに上昇すると思います。もちろん「そんな額ならやっぱり行くのやーめた」もぜんぜんありです〉 〈追加で連れて行きたいメンバーがいれば言って下さい。スクリーニングして国分さんに打診します〉

......続きはZAITEN5月号で。

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