ZAITEN2022年05月号

東京機械「新聞連合が株式買取」の経営陣保身

カテゴリ:企業・経済

 新聞の〝生命線〟ともいわれる輪転機製造大手、東京機械製作所(東証1部上場、社長=都並清史)の「乗っ取り騒ぎ」に2月末、一区切りがついた。同社株を買い占めていた東証2部上場のアジア開発キャピタル(社長=アンセム・ウォン)が、保有する約39%の大部分(32%)を読売、朝日、中日などの「新聞連合」に売却、事実上のイグジットを果たしたのである。東京機械の経営はついに、新聞連合の支配下に移った。  

 東京機械は昨年10月、アジア開発以外の既存株主に新株予約権を割り当てる買収防衛策の導入を諮る臨時株主総会を招集。アジア開発は買収防衛策の差し止めを東京地裁に申し立てるなど、法廷を巻き込んだ闘争となった。

 臨総は「天下分け目の一戦」が如し。東京機械は全社を挙げて防衛戦にあたり、新聞各紙が応援団よろしく「乗っ取り反対」キャンペーンを展開。その結果、臨総では会社側が勝利した。だが、アジア開発は発行済株式総数の約4割を握っており、仮に買収防衛策が発動されたとしても、依然として支配株主として残る。長期的に見れば、臨総の「勝利」は、本質的解決とは言えなかった。

 そんな中での今回の新聞連合による株式買取は、経営陣の「身の保全」を確実なものにしたことだろう。しかし、会社や株主にとって、この決着は本当に喜べるものなのだろうか。

......続きはZAITEN5月号で。

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