ZAITEN2022年05月号

安倍元首相の〝黒歴史〟は完全に封印

古谷経衡 プーチンを絶賛する「ネトウヨ」の怪異

カテゴリ:政治・国際

安倍晋三_プーチン_20190905_SS時.jpg(日露首脳会談・2019年9月5日)

 まさかの時に人の本性は剥き出しになる。ロシア軍によるウクライナ侵攻で、私はこの言葉を噛み締めている。平時は仮面をかぶり怪物であることを悟らせないが、有事の際にはそのグロテスクな本性を剥き出しにする。ウ戦争は、彼らの本性を炙り出すリトマス試験紙になっている。  

 2月24日、四方向から電撃的にウへ侵攻したロ軍は、ウ軍の激しい抵抗を受けて停滞しているが、それでもなお戦争の全体的主導権はロ側にある。こんな大侵略戦争を誰が擁護するのか不思議であるが、事実、ネット右翼(ネトウヨ)の一部はこの戦争においてプーチンとロシア軍を絶賛する。

 まず1種類目が陰謀論者である。世界を操る影の政府・DS(ディープステート)がウ軍およびゼレンスキー大統領をしてロシアと戦わせているという。つまりこの戦争はウ側の自作自演というわけである。DSはグローバリスト、ネオコン、ユダヤ系国際金融資本の集積体であり、世界統一政府を樹立しようとしている―。そこに敢然と立ち向かうのがプーチンとロ軍であり、彼らの頭の中では「光の戦士」ということになっている。ここに付随する味方としてトランプ元大統領が加わる。

 こうした荒唐無稽な陰謀論の発信地の筆頭は元駐ウクライナ大使兼モルドバ大使の馬渕睦夫。保守論壇では名の知れたユダヤ陰謀論者だが、今次のウ危機に際しては、2014年のクリミア戦争(併合)以降、一貫してウはネオナチ国家で、アゾフ大隊がロシア人を虐殺していると主張している。この手の陰謀論動画が、まるでチェーンメールのごとくネット界隈を飛び回っているのだ。

ネットで拡散される陰謀論

 馬渕は12年に、現在は出版事業を停止している総和社(東京・新宿)から『国難の正体』で本格デビューし、元駐ウクライナ大使という肩書をフルに活用して定年後、陰謀論的世界観を出版業界で開陳してきた。同書にはDSという単語こそ出てこないものの、完全なユダヤ陰謀論本である。馬渕はその肩書が印籠となり、一時期関西の地上波右派系番組にも出て『WiLL』にも寄稿した。が、馬渕があまりにも「世界の全ての悪事はユダヤ系がやっている」と言い過ぎたため、当時WiLL編集長だった(後、『Hanada』に分裂)花田紀凱に倦厭されたのか、以降はネット動画の世界に自閉している。当然この理由は、花田自体が「マルコポーロ事件」(1995年)で鉄槌を受けた自業自得の経験があるからだろう。

......続きはZAITEN5月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

読売新聞「スポーツ賭博解禁案」の舞台裏

東北新社と「総務省ポスター」癒着の怪

観光庁「エース同士の反目」で庁内分裂

スネ夫「茂木敏充」の愛されない理由

平井卓也が去って「デジタル庁」を蝕む新病魔

古谷経衡 プーチンを絶賛する「ネトウヨ」の怪異

予算採決を欠席した「維新」国対委員長の大甘処分

立憲民主「外環道陥没事故」追及が緩いワケ

観光庁を手玉に取る「東京女子大学・矢ケ崎紀子教授」

古谷経衡 亡国の政治家「石原慎太郎」の信心