ZAITEN2022年08月号

月刊ゴルフ場批評58

「GDO茅ケ崎ゴルフリンクス(神奈川県)」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

茅ヶ崎GL_看板.jpg 約2年ぶりに湘南は茅ヶ崎を訪れた。2年前はコロナ禍がスタートした頃だったが、今やコロナと共生するのがスタンダードで、それ以前の生活は遠い昔のようだ。

 おまけに、ゴルフ場業界が長年目標としながら達成できなかった新規ゴルファーの開拓、創生、若年層の誘致といった課題が、3密回避のレジャーとして易々と達成されてしまい、隔世の感すらある。  そのブームの旗振り役を果たしてきたといえるのが、「GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス」だ。

 ドレスコードフリーの上に〈初心者ゴルファーサポート企画〉と銘打ち、ビギナーをコースデビューに導くイベントを開催。確かに車がなくても行けるこのコースは、そうした企画を打つにはうってつけだろう。この日も若者同士やカップルなど、以前のこのコースにはあまりいなかった〝新規ゴルファー〟が目につく。

 だが、それとともに明らかにゴルフをしなさそうな家族連れがハウスに入ってくる。しかも、犬連れの人もいるぞ! 次々に2階に上がっていくが、看板を見てみると〈ワンちゃん入店時のルール〉という文字が目についた。2階の一部は犬もOKのカフェになったのか。どの犬もご立派な高級犬ばかり。恐る恐る2階を覗いてみると、いかにも海辺のカフェ調の店内は、愛犬とともにくつろぐマダムや家族連れで溢れ、ゴルファーの肩身が狭そうだ。

 菱沼海岸まで徒歩1分、高級住宅地のど真ん中というロケーションだからこそ、こうした活用法はアイディアの一つかもしれない。テラスからコースを見渡せるため、カフェの客がゴルフに興味を持ち、体験企画に参加してゴルフ客となったとの例も多いという。

 ドッグカフェにはビックリだったが、コースも変わったのか。なにしろ関東では数少ない上田治氏設計の珠玉の9ホールだからな。

 出だしはなだらかに打ち上げていく美しいパー4だが、左サイドに住宅地が迫っているため、男性は7番アイアン以下に制限。これは以前からの「茅ヶ崎ルール」だが......。右グリーンの手前は絶対入れてはいけないアリ地獄バンカーだったが......えっ、バンカーがない! きれいに埋められてしまっている。  

 常連でも手こずる難物だったあのバンカーがあればこそ小さいグリーンにどうやって止めるか、攻め甲斐のある名ホールだった。  

 2番は大きな変化はなくホッとしたが、次の3番のロング。確かGDOになってからウッド禁止になっていたが、フェアウエー手前のラフに点々と白杭が並んでいる。おいおい、フェアウエーに届かないボールは、すべてOBで特設ティからプレーだ。左の住宅への飛球が問題だろうが、ここまでやらないといけないのか?  

 しかも、セカンド地点には〈ウッド禁止〉の立て札が。海外のリゾートなんかじゃ、これくらいの近さに住宅があるのは珍しくないと思うのだが。  ワンコカフェで近隣住民の心を掴んだのなら、この辺もぜひすり合わせをしてほしい。せっかくの名コース、これ以上はいじらないでくれ!


●所在地 神奈川県茅ケ崎市菱沼海岸9-38 ●TEL. 0570-011-562 ●開場 1957(昭和32)年11月17日 ●設計者 上田治 ●ヤーデージ 9ホール、2800ヤード(LEFT)、パー36

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