ZAITEN2022年09月号

日本各地をメガソーラーで掻き回す〝中国国営企業〟

上海電力を日本に招き入れた「日立製作所」の原罪

カテゴリ:企業・経済

「武家の商法」の大阪現代版とも言えるのが大阪・咲洲である。ここに地上55階、高さ256㍍を誇る超高層ビルが聳える。その名を「大阪ワールドトレードセンタービル」(WTCビル)という。

 大阪市港湾局が中心となって1995年に完成したWTCビルは、開業当初から入居者が想定を大幅に下回った。大阪市中心部から離れ、案の定というべきか、運営会社の第三セクターは赤字経営を続け、ついに2009年、会社更生法の適用を受けて事実上倒産。08年から「大阪府庁舎を移転させるべき」としていたのが、当時の大阪府知事、橋下徹である。

 だが、府庁移転案は否決されたものの、10年には大阪府に所有権が移転。17年に「さきしまコスモタワーホテル」が入居したが、賃料数億円を滞納し、大阪府から契約解除される始末。もはやここは「呪われた地」とも言える。

日本各地でトラブル続き

 この建物からほど近い場所に中国・上海電力のメガソーラー事業が展開されている。当初は大阪市内の企業2社によるJVが実施事業者として発表された。そのJVが合同会社を設立、その合同会社の代表社員が変更される形で上海電力が参加した経緯の詳細は、本誌前号で詳報した通りだ。

 大阪での上海電力のメガソーラー事業は14年5月に稼働し、ほかにも兵庫県三田市、茨城県つくば市、栃木県那須烏山市、福島県西郷村などで続々と太陽光発電所建設計画を進めている。大阪案件はその第1号なのである。
 そもそも上海電力は、いかなる企業なのだろうか。  

 上海電力の創業は古く、49年に中華人民共和国が建国された頃には、中国の電力の半分以上を同社が担っていたという。世界13カ国で太陽光、風力、火力、水力の発電事業を行っている。上海電力の親会社は「国家電力投資集団有限公司」で、従業員総数が1400万人に上る超巨大企業だ。ただ、原子力発電事業が主力というから、皮肉ではある。中国国務院直属の上海電力だが、日本各地で行われた事業の現場を訪れると、評判は決して良いものではない。

......続きはZAITEN9月号で。

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