ZAITEN2022年010月号

こんな男がエラそうにしていて良いわけがない

モンスター陰謀論を生んだ「ひろゆき」の大罪

カテゴリ:事件・社会

 今年6月、夏の参議院選挙に立候補を表明した乙武洋匡の、選挙活動のキックオフイベントが都内で行われた。乙武の隣には、匿名掲示板「2ちゃんねる」の元管理人であり、自称実業家の西村博之(ひろゆき)がいた。最近ではユーチューバーと言った方がいいかもしれない。  

 乙武とひろゆきは、この前日には渋谷駅前での街頭演説も行っており、ネットやメディアの一部で話題を呼んだ。例の飄々としながら毒舌も混じるひろゆきとのイベントでのやり取りは、選挙ボランティアと支持者の若者の笑いに包まれながら進行していった。  

 イベント終了後に記者とのぶら下がりの質疑応答が行われた。数十社にのぼるメディアのカメラとマイクに囲まれた和やかなものだったが、筆者はあえて質問した。  

 ひとつは、2ちゃんねるの被害者に支払うべき多額の未払い賠償金の問題だ。ひろゆきは時効まで逃げ切ると公言し、所得隠しなどの手法を駆使して数十億円ともいわれる賠償金を結局は支払わなかった。そのような脱法行為で財をなし、いまだそれに対して弁済も謝罪も、ましてや反省のひとつもなく開き直っている人物を、法治国家の国政選挙の応援弁士に呼ぶことはどうなのかということだ。  

 乙武は私の質問に明らかに動揺し、「そこも含めて有権者の方に判断していただくのがいいのかと思っています」と答えた。だが、当時の2ちゃんねるをめぐるひろゆきの違法行為が世に知られているかといえば疑問だ。

公然と開き直る厚顔

「テレビにあの人の姿が出てきて驚きましたよ。まだ裁判のことで賠償金も支払われていない。ましてや謝罪などもない。わたしがどれだけ2ちゃんねるにあることないこと書かれて迷惑をかけられたか。結局、裁判費用だけがかかった。今でもはらわたが煮えくり返る思いです。それがニヤニヤと笑ってテレビに出ている」  

 経営する法人の虚偽の事実が2ちゃんねるに書き込まれ、これをサイトの管理人であるひろゆきが放置したことをめぐって行われた裁判の被害者は、憤って筆者にぶちまけた。賠償金は今も支払われてはいない。  

 被害者はまだまだいる。こちらは女性だ。

「ひろゆきがテレビに出てくると、すぐにチャンネルを変えています。あんなろくでもない男がワイドショーで偉そうなこといえるのか、呆れかえりますよ。テレビもテレビですよ。なんであんな男を出すんですかね」

......続きはZAITEN10月号で。

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