ZAITEN2025年11月号
「小中学生の10・1%が体調悪化を経験」の衝撃
消費者庁&厚生労働省「香害放置」の怠慢
カテゴリ:事件・社会
衣料品の洗濯洗剤や柔軟剤に含まれる香り成分で体調不良を訴える人々が増えている「香害」問題。本誌は今年8月号で「『香害』を垂れ流す消費財メーカーの大罪」として特集を組み、会社を退職せざるを得なくなったり、子どもが学校に通えなくなったりするなど日常生活への深刻な影響を報告。
同時に、香り成分入りの製品を製造・販売するP&Gや花王、ライオンなどの企業責任を追及した。その後、新たな学術調査の結果もまとまり、被害のより詳細な実態が徐々に明らかになっている。
化学物質過敏症などの環境過敏症を研究する、日本臨床環境医学会と室内環境学会(共に環境過敏症分科会)が8月に公表した調査結果によると、小中学生の10・1%が「香害による体調不良の経験がある」と回答。未就学児を含む全体では、8・3%が香害被害を訴えており、約2%は香害のために不登校傾向にあることも判明した。
香害による体調不良の経験があると答えた割合を年代別に見ると、未就学児が2・1%、小学校低学年が6・8%、小学校高学年が11・2%、中学生が12・9%となり、年代が上がるにつれて、香害による被害を訴える子どもが増える傾向にあることも分かった。
調査に参加した明治大学の寺田良一名誉教授(環境社会学)はこう語る。 「年代が上がるにつれて被害の訴えが増える理由について、はっきりしたことは言えないが、それだけ集団的に同じ部屋の中で、同じ空気を共有する年数が増えてくると、症状が出てくる確率が高くなるのではないか。教室で香害被害が起きているとすれば、学習環境が損なわれていることになる。早急な対策が必要だ」
......続きはZAITEN11月号で。