ZAITEN2025年11月号

あまりに〝軽すぎる〟被告人の態度

オープンハウス「特殊詐欺事件」元社員の無自覚

カテゴリ:事件・社会

 連続特殊詐欺事件に加担し、詐欺及び窃盗罪に問われたオープンハウス保土ケ谷営業センター所属の男性営業社員H(逮捕当時31歳)の被告人質問が、2021年2月8日、東京地裁で行われた。大柄の体に灰色のトレーナー上下を着けたHが、手錠・腰縄を解かれて被告人席につく。起訴状によれば、被告人Hは、3件の事件にコーディネータ役(受け子・出し子のスカウト、盗んだ金の受け渡し、連絡役)として関与した。

【第1事件】20年3月25日、氏名不詳の掛け子(電話をかけて騙す役)が茨城県取手市の女性(84)方に市役所職員をかたって架電し、「年金の払戻金があるが銀行のカードが古い。交換のために銀行員が行く」とだました上で、指示を受けた出し子・受け子の男性K(Hの後輩。上大岡営業センター所属の営業社員)が銀行員を装って女性宅を訪問、銀行カード4枚を詐取した。同日午後、Kは詐取したカードを使って取手市役所前のセブンイレブンのATMから97万円を引き出し窃取した。

【第2事件】20年4月15日、共犯の掛け子2人が、足立区内のホームセンター駐車場の車内から、千葉県酒々井町内の女性(82)宅に役場職員をかたって架電、「保険金の還付金があるので銀行職員が行く」などとだました上で、指示を受けたKが女性宅を訪問、銀行カード3枚を窃取した。同日午後、Kは窃取したカードを使って酒々井役場出張所にある銀行ATMから86万7000円を引き出し窃取した。

【第3事件】20年5月27日、共犯の掛け子2人が、足立区内のホームセンター駐車場の車内から、千葉県鴨川市内の女性(78)宅に役場職員をかたって架電、「保険金の還付金がある。銀行のカードが古くて入金できない。交換のために銀行職員が取りに行く」とだました上で、指示を受けたKが女性宅を訪問、銀行カードと通帳を窃取した。同日午後、Kは窃取したカードなどを使い、市内の銀行ATMから9万1000円を引き出し窃取した。

 これまでの手続きで、いずれの起訴事実についてもHは「まちがいありません」と認めている。検察側の冒頭陳述によれば、Hは知人から紹介されて本件各犯行に及んだ。担当したのは「コーディネータ役」で、会社の同僚であるKを共犯(受け子・出し子)に誘い、犯行に使用する携帯電話の引き渡しや日程の調整、報酬の受け渡しについて指示を行った。Kとの連絡には社用の携帯電話を使った。

......続きはZAITEN11月号で。

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