ZAITEN2025年12月号

なぜ、社員たちにこのような倫理観が共有されたのか

オープンハウス「特殊詐欺事件」元社員に前科の過去

カテゴリ:事件・社会

 高齢者を狙った連続特殊詐欺事件に「コーディネータ役」として関与したとして詐欺・窃盗の罪に問われた「オープンハウス保土ケ谷営業センター」所属である男性H社員(懲戒免職、逮捕当時31歳)に対する被告人質問の続きである(2021年2月8日、東京地裁。結城真一郎裁判官)。

 H社員に〝前科〟があったことが明るみに出たのは、被告人質問開始後しばらく経ったときのことだ。

上司は「もう連絡してくるな」

弁護人 前の裁判のときも、執行猶予が終わっても絶対に犯罪しちゃだめと言われなかったか。

H はい。

―なんでまた(犯罪を)したのかと思われるよね。

 本当に自分のことしか考えない行動だった。軽率だった。  

 前科について、弁護人はそれ以上のことは聞かなかったが、後半の裁判官による質問のなかで、前科とはテレビを盗んだことによる住居侵入・窃盗罪だったことがわかった。

裁判官 執行猶予が終わる時期を知っていたか。

 今から3年前......。

―計算が合わない。執行猶予が終わったのは令和元年(19年)8月19日。執行猶予が切れていたことはわかっていたのか。

 はい。

―犯罪に対する抵抗が薄れたということはないか。執行猶予が切れていたことと、今回の犯行とは関係があるのか。

 関係ない。 (中略)

―前科の事件は、他人の家に入って物(テレビ)を盗んだ。直接被害者が見えるが、オレオレ詐欺、特殊詐欺は被害者が見えにくいので心理的抵抗が小さかった。そういうことか。

 そういうことだと思います。

―テレビを盗んだ事件で、弁償できなかった残額については分割弁済すると判決にある。じっさいに弁済はしたのか。

 していません。

―なぜか。

 私の勤めている会社の上司が、不動産会社に勤めていた方ですが、もう連絡はとらないでほしいということだったので、そうしています。

......続きはZAITEN12月号で。



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