ZAITEN2023年06月号

【著者インタビュー】『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』栗下直也

カテゴリ:インタビュー

栗下直也
『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』
平凡社新書/880円+税

くりした・なおや―1980年東京都生まれ。2005年、横浜国立大学大学院博士前期課程修了。現在、著述業。専門紙記者を経て、22年に独立。おもな著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)など。

―執筆動機を教えてください。


 人間は偉かろうが偉くなかろうが変わらないと伝えたかったのが最も大きな動機です。20年弱、記者として取材してきましたが、よほど特殊な才能を持った人を除くと、政治家だろうが大会社の社長だろうが「偉い」といわれる人でも良くも悪くも市井の人と大きくは変わりませんでした。
 酒を飲めば酔っ払うし、シラフでも意味不明な発言をします。酒を飲もうが飲むまいがダメな人はダメだし、まともな人はまともです。「人間はみんなそこまで大きく変わらない」を少し横から論じてみました。酒のエピソードで括ったのは、私が酒好きだからです。いろいろ調べ始めた動機には、お酒好きで自分よりもひどく酔っ払っている人をみつけて、自分で自分を励ましたいという個人的な動機もありました。 ―教科書に出てくるような人の中にもかなり過激な酒癖を持っている人がいますね。  

 例えば、第2代の首相である黒田清隆は酔って帰宅して妻を切り殺した疑惑があります。 「そんなバカな」と一蹴されそうな類の話ですが、黒田の場合はそれ以前にも船の上から酔っ払って砲撃したら、民家に直撃してしまい人を殺しています。

 他にも酒癖の悪さのエピソードは五指に余るので、妻殺し疑惑は政治的な議題になります。というのも、当時は薩長の政権争いが激しく、薩摩閥の黒田は長州閥に責め立てられてしまい、墓を開けて検証する事態にまで発展します。結局、権力者の大久保利通の権限でそれ以上の問題にはなりませんでしたが、大久保も薩摩ですから、真相は藪の中です。  

 海外で過激な酒といえばロシアのスターリンですね。これは周りが迷惑するタイプです。

......続きはZAITEN6月号で。

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