ZAITEN2026年4月号

「自由」と「秩序」をめぐるネット空間の規制の実態

【著者インタビュー】『プラットフォームに正義を託せるか』中央大学教授 小向太郎

カテゴリ:インタビュー

プラットフォームに正義を託せるか 「コンテンツ・モデレーション」の最前線
日本経済新聞出版/¥2000+税

こむかい・たろう―中央大学国際情報学部教授。早稲田大学政治経済学部卒、中央大学博士(法学)。情報通信総合研究所取締役・法制度研究部長、早稲田大学客員准教授、日本大学教授等を経て2020年より現職。おもな著書に『情報法入門【第7版】―デジタル・ネットワークの法律』、共著に『概説GDPR―世界を揺るがす個人情報保護制度』(いずれもNTT出版)など。

―SNSなどのデジタル・プラットフォームが持つ社会への影響力が非常に強まっています。

 いわゆるGAFAMと呼ばれる巨大IT企業が運営するプラットフォームは、現代社会のインフラとして、なくてはならない存在となっています。さらにこうしたプラットフォームを媒介にした言論空間は、市民感情や世論に非常に強い影響を与えています。 『プラットフォームに正義を託せるか 「コンテンツ・モデレーション」の最前線』(日本経済新聞出版)では、アメリカ、EUにおけるプラットフォームに対する規制の実態とその背景を解説するとともに、日本での解決方法を模索しています。近年、世界で注目されているのは、コンテンツ・モデレーションという仕組みです。コンテンツ・モデレーションとは、プラットフォームが自社サービス内の不適切なコンテンツに対する自主的なチェックやコンテンツの削除・制限を行うことを指します。 ―アメリカとEUでは、まったく異なる視座でプラットフォームと向き合っています。

 EUでは、「基本的人権の尊重」や「〝EUが考える〟民主主義」、あるいは「社会の望ましい秩序」が維持されるために、深刻な問題が発生する前に事前に規制したうえで、プラットフォームも自社のコンテンツに対して責任を持つべきだとされています。  

 こうした認識下での規制で、比較的上手く機能しているのは、各種サービスや通販における利用者保護、消費者保護の分野です。  

 一方で、政治的な分野での問題解決には敏感になっており、今後の方向性をめぐり岐路に立たされているように見えます。

 EUは、社会に大きな影響を与えるリスクを「システミック・リスク」と位置付けて、プラットフォームに対してその対処を求めています。その対象となっているのは、違法な情報だけでなく〝有害な情報〟―差別や分断を煽るような言論、偽情報による世論操作や選挙妨害、言論弾圧的な主張、ネットいじめなどです。こうしたコンテンツについて、「自社のサービスはどんな悪影響があるのか」を分析し、自主的に対処することを求めていますが、こうした強い規制にはEU内でも反対意見があります。

......続きはZAITEN4月号で。

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