ZAITEN2026年6月号

松下政経塾が夢見た 「保守二大政党制」という「大いなる勘違い」

【インタビュー】『松下政経塾が夢見た「保守二大政党制」という幻想』 ジャーナリスト 出井康博

カテゴリ:インタビュー

いでい・やすひろ―1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『ザ・ニッケイ・ウィークリー』の記者を経て独立。著書に、『松下政経塾とは何か』『長寿大国の虚構―外国人介護士の現場を追う―』(共に新潮社)『年金夫婦の海外移住』(小学館)など。

松下政経塾が夢見た 「保守二大政党制」という「大いなる勘違い」

 高市早苗を大看板に掲げた自民党が316議席を獲得し、歴史的大勝利を収めた先の衆議院議員選挙。高市には松下政経塾の5期生にして、同塾が生んだ2人目の総理大臣という側面がある。  

 他方で、当時の最大野党である立憲民主党の代表であった野田佳彦は、この選挙で「政権交代」を実現すべく立憲と公明党の議員を合流させる形で中道改革連合を結成、共同代表として高市に勝負を挑んだものの惨敗した。  

 野田もまた政経塾の1期生であり、同塾が生んだ初の総理大臣でもあった。先の衆院選は、いわば政経塾が生んだ「新旧エース」の対決でもあった。  

 彼ら以外にも、松下政経塾は大臣経験者16人、首長経験者27人を輩出し、政界における一定の勢力となっている。  

 そこで今回、かつて同塾への精力的な取材を行い、『松下政経塾とは何か』(2004年刊、新潮新書)や『襤褸の旗 松下政経塾の研究』(12年刊、飛鳥新社)などの著書を持つジャーナリストの出井康博氏に、改めて松下政経塾とは何かを聞いた。

挫かれた「保守二大政党」の幻想

 私は1990年代から20年ほど、政治家になった人はもちろん、ならなかった人も含めて、多くの松下政経塾出身者に取材してきました。ただ私は、政経塾の取材で高市氏には会っていません。というのも正直なところ、当時はあまり関心を持っていなかったからです。  

 あの頃に私が主に焦点を当てていたのは、松下政経塾を母体に新党を立ち上げようとしていたメンバーでした。その中心にいたのが、杉並区長などを経て、現在は自民党所属の参議院議員となっている山田宏氏(2期)であり、その盟友である野田氏でした。

 そもそも政経塾の「一丁目一番地」、つまり基本的な目標であり理念は、政権交代可能な二大政党制を日本で実現すること。要は、「容れ物」を作ることにありました。  松下政経塾を立ち上げた1979年当時、松下幸之助の中にあった問題意識は、ロッキード事件に象徴されるような金権腐敗体質に染まった自民党は耐用年数を過ぎている、ということ。

......続きはZAITEN6月号で。

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