ZAITEN2024年01月号

月刊ゴルフ場批評75

「ラ・ヴィスタゴルフリゾート」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

ラ・ヴィスタゴルフリゾート.jpg「ラ・ヴィスタゴルフリゾート」は、2011年まで太平洋クラブ唯一のパブリックとして、独特の存在感を放っていた人気コースだった。オレンジを基調としたクラブハウスは、南欧のリゾートホテル風で、プールに噴水、房総の里山とは思えないヤシの木やオリーブなどの樹々が、精一杯リゾート感を演出していた。  

 オープン間もない99年7月には、女子ツアー「住友VISA太平洋クラブレディース」を開催。プールに水着のモデルを座らせ、「ゴルフ場に水着ギャル登場」と当時、大きな話題になった。

 レストランの内装や食事も凝りに凝って、女性ウケしそうなイタリアンなどの南欧風メニューが並び、「女性と行くなら鉄板」と、当時のナンパなゴルファーから変なお墨付きが出ていたものだ。

「友の会」にも力を入れていて、キャンセル待ちが出るほど月例コンペは賑わっていたようだ。  

 そのラ・ヴィスタが、11年5月にアコーディア・ゴルフ傘下に加わった。友の会は消滅し、客層も変わったと聞いて足が遠のいていたが、10年ぶりに再訪してみた。

 クラブハウスは少し古ぼけてはいたが、空高く聳えるヤシの木に囲まれた南欧風御殿は健在。しかし、プールの水面には藻がはびこり、汚い池と化していた。効率化の〝権化〟といわれるアコーディア・ゴルフの経営感覚では、気にもならない部分なのかもしれない。人気のあった併設のホテルも今年9月に閉館となっていた。  他にも随所に見られる〝ザ・アコーディア流〟。玄関でのバッグの積み下ろしや、プレー後のクラブ拭きがセルフなのは当たり前として、使用カートの番号が検索できる機械がカートナビのスコア印刷機と一緒に設置されているのは初めて見た。そのマシンに自分のロッカーキーをかざすと、カート番号が分かる仕組みで、プレーヤーにカートを案内するのも機械任せという徹底ぶり。

 ハウス内はアコーディアのキャンペーン告知のポスターが所狭しと掲示され、大きなモニターにはマナーやプレーファストの徹底を促す動画が流されている。他のアコーディア系コースとまったく一緒でリゾート感は皆無。  

 コースはもともとリゾートとは対局にある強面タイプ。激しい左ドッグレッグから2段の馬の背フェアウェーを経て、激しい3段グリーンという「3重苦」が有名な2番パー5や左サイドがほぼ池とか、バックティなら200㍎近い崖越えを要求されるホールなどなかなか苛烈なレイアウトだ。  

 要注意なのは次のホールへのインターバル。数カ所でカート道が交差したり、クラブハウス前に戻って来るホールもあり、気を抜いていると同じホールを2度回るなんてことになりかねない。

 レストランのメニューも〝ザ・アコーディア流〟にガラっと変わって、こちらもリゾート感など全く感じられない。  

 なまじ昔を知っているだけに、この変貌ぶりにはガッカリだが、グリーンのメンテナンスだけは上々で、最低限ラウンドは楽しめる。思い切って、「リゾート」の名は外すべきだと思うが......。

●所在地 千葉県長生郡長南町佐坪373 ●TEL. 0475-46-2525 ●開場 1998(平成10)年9月8日 ●設計者 住友建設、毛利敏元 ●ヤーデージ 18ホール、6990ヤード、パー72

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