ZAITEN2024年03月号

はがき「63円→85円」の横暴

日本郵政・増田社長「料金値上げ」の経営失策

カテゴリ:企業・経済

 地位に拘るだけで、気概も展望も持たない無能トップの下、問題が日々深刻化する―。内閣支持率が地を這う岸田文雄政権のことだけではない。元総務相の増田寛也(1977年旧建設省、元岩手県知事)をトップに迎えて4年目になっても、業績も株価も一向に上向かない日本郵政グループも同じような状況だ。

「郵便局を地方創生の核に」などと夢物語を語っている間に、傘下の日本郵便の収支は2022年度に郵政民営化後初めて赤字に転落。その穴埋めをしようと、増田や日本郵便社長の千田哲也(84年旧郵政省)が総務省とつるみ、定形封書やはがきの料金を大幅値上げする方針を唐突に打ち出したことが波紋を広げている。「燃料高もあり厳しい」(増田)というが、経営失策のツケを顧客に付け回しする以外の何物でもない。土曜日配達の廃止や、平日の翌日配達の取りやめなど郵便サービスの劣化も続く中、政府・与党内でもさすがに「これでは国民の反発が巻き起こりかねない」と懸念する声が拡大。増田や千田の交代論も出始めたが、自民党の郵政族議員や全国郵便局長会(全特)、JP労組への対応など「しがらみだらけのポスト」(財界筋)を引き受けようなどという奇特な経済人は容易には見当たらない。畢竟、「令和の肩書きコレクター」(霞が関筋)と揶揄される増田や天下り官僚による成算なき経営が続くしかないのが実情だ。


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