ZAITEN2024年03月号

「鉄は国家なり」

日本製鉄「USスチールに2兆円」空中分解必至の無謀な「巨額買収」

カテゴリ:企業・経済

 2023年末の産業界をアッと言わせた日本製鉄による米USスチール買収。〈粗鋼世界3位に〉〈日米で大型再編〉(日本経済新聞)などマスコミは前向きに報じたが、株式市場は懐疑的。政治介入が不可避の米鉄鋼業の買収を大統領選挙の年に進める「間の悪さ」に加え、約141億㌦(約2兆600億円)という買収金額に「過大評価」との見方が広がる。金融専門家は「このディール(案件)は空中分解必至」と酷評する。

掌返しの高値掴み

 日鉄の粗鋼生産量が世界ランキング4位の4437万㌧(22年、世界鉄鋼協会調べ)に対し、USスチールは同27位の1449万㌧で買収が成立すれば合計5886万㌧。世界3位に躍進するが、それでも首位の中国宝武鋼鉄集団(1億3284万㌧)の背中は遠く、2位の欧印系アルセロール・ミタル(6889万㌧)にまだ約1000万㌧の開きがある。  

 鉄鋼部門が主力の大手商社幹部は「形勢逆転に結びつく〝ゲーム・チェンジャー〟になり得ないような買収に2兆円も投じるのは無謀」と指摘する。実際、12月18日の買収発表直後から「なぜこんな巨額を」との疑問の声が日米双方の業界関係者から次々上がった。

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