ZAITEN2024年10月号
【特集】武田薬品「ポスト・ウェバー」めぐる女たちの闘争
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日本を代表する製薬会社、武田薬品でまた苛烈なリストラが始まった。今度のターゲットは、国内地方営業所の内勤部門。今春から所属社員に対し、強要ともいえるような実質的な退職勧告が行われているという。
さらに問題なのは、リストラに慣れている本社人事部門もあきれるような手荒い手法を現場が用いていることだ。日本初のメガファーマである世界の〝TAKEDA〟で何が起きているのか。
8月2日、武田薬品は「革新的な医薬品を持続的に創出・提供するための日本における事業運営体制の見直しについて」と題するリリースを、自社サイトに掲載した。もったいぶったタイトルをつけているが何のことはない。「要は国内事業組織を再編し、社員も減らしますということなのです」(同社関係者)。
狡猾なのは、このリリースの掲載先だ。最も目に付くグローバルサイトではなく、国内サイトにだけ掲載しているのだ。ある専門紙記者は、「後ろめたいことがあるので、目立つ場所にアップすることを避けたのではないか」と指摘する。
実はこの発表、同社社長のクリストフ・ウェバーが宣言した構造改革の一環となる。総額1400億円の退職金を用意し、大規模なリストラを進めていく方針を5月の決算発表時に打ち出した。事業のグローバル化を進める武田薬品にとって、国内市場の売上比率は1割前後しかない。だが、社会保障費の増大を抑えるため、年々、医薬品の公定価格である「薬価」が切り下げられている日本は、メガファーマである武田薬品にとってはお膝元とはいえ、魅力のない、お荷物な市場となりつつある。そこで「国内事業が新たなターゲットになったのではないか」と前出専門紙記者は解説する。
決算資料や本誌が得た内部資料を見ると、確かに国内事業は芳しくない。10年前には7000億円台だった国内事業の売り上げは右肩下がりで推移し、2023年度では4000億円台半ばにまで落ち込んでいる。
......続きはZAITEN10月号で。